日本獣医師会雑誌
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プラスチック注射器製フィステルによる子牛の膀胱破裂の応急手術例
田浦 保穂鈴木 敏之中間 實徳宇地原 務川手 憲俊元永 博次
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1992 年 45 巻 12 号 p. 933-935

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抄録

尿石症による膀胱破裂で搬入された6カ月齢の黒毛和種去勢雄牛に, 応急手術としてプラスチック注射器により作製した膀胱-皮膚フィステルを装着し, 良好な結果が得られた.症例は血中尿素窒素が137.3mg/dl, 血漿クレァチニンが11.5mg/dlと高く, 尿毒症状態にあった.直ちに右側臥保定の鼠径部切開により局所麻酔下で開腹手術した. 術式は先端を斜めに切断した12mlのプラスチック注射器でフィステルを作り, 破裂孔から膀胱内に落とし込み, 破裂部を閉鎖縫合後, 傍正中線を小切皮しフィステルの先端を膀胱から腹膜, 筋層, 皮膚の順に体外に誘導し, その先に25mlの注射器で作ったツバをつけ, 注射針で十字に固定した.術後2日で尿毒症は改善され1年経過後も再発はないことから, 本法は膀胱破裂の1救急処置として有用と考えられた.

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