1992 年 45 巻 8 号 p. 543-546
分娩8週間前の乳牛に対してトコフェロール (Toc) 1,000mgおよびToc 1,000mgとセレニウム (Se) 50mgを1週間隔で筋肉内投与し, 投与後から分娩前後における血中Toc, Se, グルタチオンペルオキシダーゼ (GSH-Px) 活性値および血清過酸化脂質濃度の変動を検討した. Toc投与群と対照群の血清と赤血球Toc値は, 分娩2週間前から減少し, 分娩後も著しい低値が持続したのに対し, TocとSe併用群の赤血球Tocは高値で推移した. Toc投与群と対照群の血清Se値と血液GSH-Px活性値は低値で推移し, 特に分娩前後では欠乏値にまで低下したが, TocとSe併用群ではSe投与後血液GSH-Px活性値が5週目から有意 (P<0.05) に上昇し, かつ他の2群より有意 (P<0.05) な高値を示した. いっぽう, Toc投与群と対照群では分娩後に血清過酸化脂質濃度の著しい増加が認められたのに対し, TocとSe併用群での増加は軽度であった.