日本獣医師会雑誌
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45 巻, 8 号
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  • 納 敏, 山口 寿, 一条 茂
    1992 年 45 巻 8 号 p. 543-546
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    分娩8週間前の乳牛に対してトコフェロール (Toc) 1,000mgおよびToc 1,000mgとセレニウム (Se) 50mgを1週間隔で筋肉内投与し, 投与後から分娩前後における血中Toc, Se, グルタチオンペルオキシダーゼ (GSH-Px) 活性値および血清過酸化脂質濃度の変動を検討した. Toc投与群と対照群の血清と赤血球Toc値は, 分娩2週間前から減少し, 分娩後も著しい低値が持続したのに対し, TocとSe併用群の赤血球Tocは高値で推移した. Toc投与群と対照群の血清Se値と血液GSH-Px活性値は低値で推移し, 特に分娩前後では欠乏値にまで低下したが, TocとSe併用群ではSe投与後血液GSH-Px活性値が5週目から有意 (P<0.05) に上昇し, かつ他の2群より有意 (P<0.05) な高値を示した. いっぽう, Toc投与群と対照群では分娩後に血清過酸化脂質濃度の著しい増加が認められたのに対し, TocとSe併用群での増加は軽度であった.
  • 佐藤 基佳, 三宅 卓夫, 宮原 和郎, 広瀬 恒夫
    1992 年 45 巻 8 号 p. 547-550
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ホルスタイン種, 雌, 20カ月齢の中足骨斜骨折症例に対して, 14mmと10mmのV字型骨髄ピン2本を用いて内部固定と塩化ビニール管 (塩ビ管) を利用した副子包帯を併用した治療を実施した. 破行は徐々に消失し, 術後4カ月には軽度の跛行を後遺するのみとなり, 1年後にはほとんど認められなかった. 術後5.5年後に残置骨髄ピンの介入が原因の一つとして考えられる趾関節に波及した骨新生に伴う跛行が再度出現したため, 最終分娩後の8歳で廃用とされた. この間, 患畜は繁殖成績では5産 (6子) と年間平均乳量では8, 618kgを生産した. このことは, 本症例が上記の治療によって何らの影響も受けず, きわめて良好な状態にあったことを示唆するものであり, 積極的な治療処置によっても採算性があると考えられた.
  • 高木 光博, 田浦 保穂, 寺園 司, 浜名 克己
    1992 年 45 巻 8 号 p. 551-554
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    臨床的および病理解剖による肉眼的観察によって先天性虚弱と診断された子牛9例, 臨床的に正常な子牛6例および肺炎症状を示す子牛3例について, その末梢血を用い, マイトジェン (フィトヘマグルチニンPHA, ポークウイードマイトジェンPWM, コンカナバリンA Con A) 刺激によるリンパ球幼若化反応試験を行い比較検討した.
    正常子牛, 肺炎子牛, 3例の虚弱子牛およびその他6例の虚弱子牛における平均幼若化指数 (SI) ±標準誤差は, PHAではそれぞれ53.3±20.0, 13.2±5.8, 2.8±0.45および61.7±19.3であり, PWMではそれぞれ61.0±15.1, 6.1±2.1, 8.4±4.4および71.5±34.6であった.
    以上の結果, 虚弱子牛の中に免疫応答能が低下した例が存在することが判明した. あわせて, この試験は先天性に免疫応答能が低下した子牛のスクリーニング法として有用であることが示唆された.
  • 加藤 伸悦, 佐々木 和夫, 佐々木 良悦, 阿部 博行, 山田 稲生, 伊藤 敦
    1992 年 45 巻 8 号 p. 555-558
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    平成2年2月~3月, 乳用種および交雑種約120頭を飼養する肥育農家において, 新たに導入した7~10齢の子牛15頭にビタミンAD3E剤 (1日当たりA: 200万IU, D3: 100万IU, E: 800IU) を連日投与したところ, 全頭に元気消失, 食欲廃絶, 脱毛, 歩行困難等が認められ投与後13~27日の間に6頭が死亡した. 鑑定殺した3例の剖検所見では, 大動脈, 肺動脈内部に赤褐色沈着物が認められ, 肝臓では軽度の退色が観察された. 大腿骨骨端軟骨板では軽度の蛇行がみられた. 組織所見では肝臓の伊東細胞に腫大, 空胞化が認められた, 血液科学検査については血清中のRetinyl palmitateが8例中6例 (75.0%) で検出された. 全頭で血漿中の25-OH-D値 (561.9±77.4ng/dl) および血清Ca値 (14.4±1.3mg/dl) の顕著な増加が認められた. ウイルスおよび細菌検査では特に異常は認めなかった.
    これらの所見からビタミンA, D過剰症と診断され, 骨端軟骨の閉鎖不全が認められたことからハイエナ病の前段階であると推察された.
  • 村上 覚史, 稲毛 幹雄, 原 康弘, 伊藤 尚志
    1992 年 45 巻 8 号 p. 559-561
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1養豚場で, 哺乳豚に嘔吐および下痢が頻発し, その1例を剖検した胃は著明に拡張し, 胃酸臭は欠如し, さらに胃粘膜に白色の肥厚性限局病巣が観察された. この胃粘膜病巣を病理組織学的に検索した結果, 血管の拡張, 顕著な好中球浸潤および真菌の寄生が認められた. この真菌は出芽型分生子および仮性菌糸の形態を示し, 免疫組織学的染色で抗カンジダ血清陽性であった. その他の消化管病変として胃底腺腺腔の拡張, 腺細胞の腫大変性, 食道の角化亢進, 小腸絨毛の萎縮がみられた. また, 肝臓では硝子滴変性および尿円柱が観察された. 豚の胃カンジダ症はわが国において最初の報告と思われる.
  • 1992 年 45 巻 8 号 p. 562-571
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 45 巻 8 号 p. 572-580
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 大久保 隆行, 水谷 渉, 桑原 繁, 長谷 正義, 小島 孔章, 本間 義春, 竹内 良夫
    1992 年 45 巻 8 号 p. 583-587
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    Benzylpenicillin (PCG) 水溶液の変化と補液内での抗原性発現をcephem系抗生物質と比較した. pH5, 7, 10に調整したPCG/生理食塩液を0~4時間放置した結果, pH5溶液で著しい変化が認められた.
    上記溶液をゲル濾過するとKav.0.75, 0.85, 1.0の3峰性の溶出を示し, PCGまたは分解物の重合物の形成が確認された. 抗PCG IgG type血清を用いた皮膚受身アナフィラキシー反応 (PCA) で抗原性を測定した結果, 2時間以上放置試料で反応を誘発した. Cephem系薬剤4種の変化は多様であった. これらの溶液を抗原として, それぞれの薬剤に対するIgE type抗血清を用いPCA誘発実験を行った. その結果, 薬剤の放置時間に比例して抗原性が拡大した.
    以上の結果から, 抗生物質水溶液はアレルギーの誘発原となる可能性が示唆された.
  • 1992 年 45 巻 8 号 p. 588-595
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 五十嵐 健二, 矢冨 謙治
    1992 年 45 巻 8 号 p. 597-599
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1989年6月~8月, 兵庫県東播磨地域の児童公園の砂場168カ所における犬と猫の回虫卵の汚染状況を調査した. 37カ所 (22.0%) の公園から犬と猫の回虫卵が検出され, そのうち人に感染力のある幼虫包蔵卵は12カ所 (7.1%) で認められた. 地域別にみると, 田園地域の公園は8.3%(6/72) と低率であったが, 市街地の公園は32.3%(31/96) と高率であった. 糞便の認められた砂場は47.1%(16/64) とさらに高率に汚染されていた.
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