日本獣医師会雑誌
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長崎県におけるH1N2型ウイルスによる豚インフルエンザの流行
林 和彦橋本 哲二向原 要一久住呂 毅毛利 卓
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1993 年 46 巻 6 号 p. 459-462

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抄録

1989年と1990年に長崎県内の2養豚場で豚インフルエンザが発生した. 発症豚の鼻汁から分離されたウイルスを既知14株のインフルエンザウイルス免疫血清を用いて抗原分析を実施したところ, 両発生例由来の2分離株はいずれもH1亜型とN2型の抗原を有する遺伝子再集合型のインフルエンザウイルスであった. さらに, 発症豚群の急性期と回復期の血清を用いた抗体検査で, H1亜型とN2型に対する抗体の特異的な上昇が認められた. 1, 512頭の県内肥育豚を対象として浸淫状況を調査したところ, H1亜型抗原に31.6%, H3亜型抗原に対し29. 1%が抗体を有していた. また, H1N2亜型ウイルスに対する抗体はインフルエンザウイルス抗体陽性豚中の12.0%から検出され, 長崎県内にH1N2型ウイルスによる豚インフルエンザが流行していることが示唆された.

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