1993 年 46 巻 6 号 p. 463-468
著者らは, in votroにおいてスルファモノメトキシン (SMMX) 耐性B. bronchisepticaのK抗原形成が, SMMXによって抑制されることをすでに報告した. 本試験は, in vivoすなわち, 豚の鼻甲介でもこのK抗原形成抑制作用が生じるか否かを人工感染豚を用いて検討した. SMMXは500ppmの割合に添加した飼料を菌接種1日前から剖検日まで連続して投与し, 剖検は菌接種後11日および25日目に行った. SMMX投与群では無投与対照群に比べ肉眼的および電子顕微鏡的に鼻甲介骨萎縮 (AR病変) の形成が明らかに抑制された. また, SMMX投与群では対照群に比べ鼻甲介におけるB. bronchisepticaの菌数低下が認められた. さらに, SMMX投与群の血清凝集抗体価は低い値で推移した. 以上の成績から, 豚の鼻甲介においてもSMMXの存在下でSMMX耐性B. bronchisepticaのK抗原形成が抑制される結果, AR病変の形成も抑制されるのではないかと推察された.