1999 年 52 巻 12 号 p. 768-771
帝王切開術によるSPF豚作出へのイソフルレン麻酔の応用について検討した. 硫酸アトロピン (0. 05mg/kg) およびアザペロン (2mg/kg) の投与後, 笑気-酸素- イソフルレンによる吸入麻酔を行い, あわせて塩酸プロカインで局所浸潤麻酔した. イソフルレンの濃度は, 痛覚反応を経時的に観察し, 安全な手術が可能な最低濃度にまで下げて維持した. すなわち, 吸入麻酔導入後4~7分でイソフルレン濃度を4%から0. 5%にまで下げ, 0.5%で維持した. その結果, 非妊娠豚でのMACを指標とした導入から胎子摘出終了までのイソフルレン投与量は31. 4±4. 1MAC・minとなり, 95. 8±6. 9%の高い子豚蘇生率が得られ, 母豚に対する安全性も確認された.