日本獣医師会雑誌
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牛由来サルモネラに対するオルビフロキサシンとホスホマイシンのin vitro併用効果
松本 修治北代 典幸中田 勝久片江 宏巳
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2000 年 53 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

牛由来のSalmonella DublinおよびSalmonella Typhimuriumのorbifloxacin (OBFX), oxolinic acid (OA), kanamycin (KM), gentamicin (GM), oxytetracycline (OTC), ampicillin (ABPC), sulfamethoxazole (SMX), trimethoprim (TMP), fosfomycin (FOM) およびbicozamycin (BCM) に対する薬剤感受性を調べた. OBFXのMIC90 (供試菌株の90%の株の発育を阻止する最小発育阻止濃度) はS. DublinおよびS. Typhimuriumではそれぞれ1.56および0.2μg/mlであった. 供試薬剤のin vitro抗菌力はS. Typhimuriumに対してはOBFXが最も強力で, S. Dublinに対してはOBFX, GMおよびTMPが強力であった. OBFXおよびFOMに対してはS.DublinおよびS. Typhimuriumのほとんどの株が感受性であった. 次に, S. DublinおよびS. Typhimuriumの野外分離株を用いて作用機序の異なるOBFXとFOMとの併用効果をin vitroチェッカーボード法により検討した.S.Dublin 4株およびS. Typhimurium 1株の各菌株についてOBFXとFOMの濃度の組み合わせ6~8通りについて求めたfractional inhibitory concentration (FIC) indexはいずれも0.313~1.03の範囲内の値を示した. 2剤の濃度の組み合わせの34通りについて求められたFIC indexの88.2%は0~≦1.0の範囲内の値であり, 2剤が相乗あるいは相加作用を持つことを示唆していた. さらに, time-killing曲線による殺菌作用の検討では, OBFXとFOMの併用においてS.Dublin 2株に対して著明な殺菌作用を示し, 両剤のMIC濃度を同時に添加した後, 24時間で生菌は死滅し, 両剤の併用で効果の増強が認められた.

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