抄録
兵庫県下で飼育されていたと畜場搬入牛を対象としてクリプトスポリジウムのオーシスト排泄状況を調査した. 遠心沈殿浮遊法による検査の結果, 582頭中10頭 (1.7%) の牛の糞便から2種類のクリプトスポリジウムのオーシストが検出された. それらは形態的特徴からCryptosporidium murisおよびC. pamumと同定され, 寄生率は前者が1.5%(9頭), 後者が0.2%(1頭) であった. クリプトスポリジウムの分布をさらに検討する目的で, 上記の582頭とは別に, あらかじめ陽性牛の存在が確認されている2農場から搬入された牛116頭について経月的な観察を行った. これらの農場におけるC.murisの月ごとの陽性率は12.5~28.6%(平均18.1%) と高い値で推移していた. このことはC.murisは県下で均一に分布しているのではなく, 特定の農場に局在していることを示唆しているものと考えられた.