抄録
1984~1995年に神奈川県相模原市郊外で交通事故や傷病のために死亡した5頭および静岡県田方郡で交通事故で死亡した3頭のハクビシンPaguma larvataを剖検して寄生蠕虫類を調べた. 静岡県田方郡のハクビシン2頭の小腸内よりゴマ粒様の小型の吸虫が, それぞれ58および254匹回収された. これらの虫体は形態的特徴から異形吸虫科Heterophyidaeの横川吸虫Metagonimus yokogawaiと同定された. また, 神奈川県相模原市郊外のハクビシン1頭の小腸内より条虫の成熟虫体と未成熟虫体それぞれ1匹ずつが得られ, 精査の結果, 本条虫は裂頭条虫科Diphyllobothriidaeの1種であるマンソン裂頭条虫Spirometra erinaceieuropaeiと同定された. これら2種の蠕虫類はいずれもハクビシンでの寄生報告例はないことから, 両種の終宿主としてハクビシンを新たに追加する.