2005 年 58 巻 6 号 p. 387-390
北海道において駆虫を実施していた4牧野と駆虫未実施の4牧野に放牧されていたホルスタイン種または黒毛和種の育成雌牛の8牛群から計138頭を抽出し, 2000~2002年にかけて夏場 (8月) と退牧時 (10月) の血清ペプシノーゲン値と糞便中の消化管内寄生線虫卵を調査した. 駆虫未実施群の夏場の線虫卵数は, 実施群のそれと比較して明らかに上昇していた. 線虫卵の培養では, Ostertagia ostertagiとCooperiasp. の検出率が高かった. また, 駆虫未実施群における血清ペプシノーゲン値 (1, 330±247mU) は, 駆虫群のそれ (962±177mU) と比較して有意に高値を示したとから, 線虫寄生による第四胃の傷害の進展が考えられた. 退牧時における線虫卵数は駆虫未実施群において明らかな低下を示したが, 血清ペプシノーゲン値は依然高値であり, 感染の持続が示唆された.