2005 年 58 巻 6 号 p. 391-394
長期間にわたる食欲不振の後に呼吸困難を伴った7歳齢の分娩後乳牛1例を病理学的に検索した. 剖検により, 左側の心房と心室の心内膜は肥厚し, その表面は粗造で硬固であった. 肺の両側後葉は硬度を増し, 間質性気腫を伴っていた. 組織学的に, 顕著な石灰化が心内膜下および肺胞壁にみられた. 同病変は弾性線維の変性, ムコ多糖類を含む基質の集積およびその後の石灰塩沈着により特徴づけられた. 上皮小体の主細胞は萎縮していた. 剖検時に得た血清のCa, iPおよびMg濃度はほぼ正常範囲内であった. 持続的な食欲不振に伴うパラソルモンの一過性の過剰分泌が, 当該例における本症の可能な要因として疑われた.