抄録
各種検査で肥大型心筋症 (HCM) と診断された猫13例と, 健康な猫10例を用い左心室の拡張機能の評価を左室流入血流波形と等容性拡張時間で比較検討した.HCM群は正常群と比較して, パルスドプラ法 (PD) を用いた左室流入血流波形において拡張早期波 (E波), 心房収縮期波 (A波), E波とA波の比 (E/A) に, また等容性拡張時間 (IVRT) において拡張機能障害を示唆する有意な変化がみられ, HCMの猫では無症候性であってもすでに左室拡張機能は障害されていることが示唆された.