日本獣医師会雑誌
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薬剤感受性に基づいた牛呼吸器感染症治療プログラムの臨床効果
加藤 敏英山本 高根小形 芳美漆山 芳郎荻野 祥樹齋藤 博水
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2008 年 61 巻 4 号 p. 294-298

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抄録

山形県内の10肥育農場で, 健康牛合計202頭の鼻汁を用いて牛呼吸器病起因菌の薬剤感受性試験を行うとともに, 農場ごとに呼吸器病治療時の抗菌剤使用状況とその効果を調べた. その結果, 各農場からPasteurella multocida, Mannheimia haemolytioaやマイコプラズマなどが数多く分離され, このうち第一選択薬にアンピシリンを長期間使用した1農場ではP. multocidaが耐性を示し, 治癒率も低かった. 次に, 選択した3農場の治療プログラムを薬剤感受性に基づいて変更したところ, 第一選択薬の治癒率は1農場で変更前に比べ有意に上昇し (P<0.01), 他の2農場でも高かった.以上のことから, 健康牛由来分離菌の薬剤感受性に基づいた抗菌剤選択は治療効果が高く, 抗菌剤の慎重使用にも役立つことが示唆された.

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