Journal of Veterinary Medical Science
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内科学:皮内試験または抗原特異的IgEによって選択された抗原を用いた減感作療法の効果の比較検討
朴 性俊大屋 文恵山下 耕平西藤 公司岩崎 利郎
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2000 年 62 巻 9 号 p. 983-988

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抄録
皮内試験および抗原特異的IgEの測定は犬のアトピー性皮膚炎の確定診断および減感作療法に用いる抗原を特定するため開発されてきた.日本における犬のアトピー性皮膚炎の感作抗原を特定するためアトピー犬95例を対象とし,9種類の抗原を用いて皮内試験およびイムノドットストリップによる抗原特異的IgEの測定を行った.その上,両試験の間の一致率,感度および特異性を比較した(皮内試験を基準として).その結果,日本では室内ダニが主な抗原であることが判明した(皮内試験:69.5%,抗原特異的IgEの測定:48.4%).さらに日本スギ,ヨモギ,草混合などが付随する抗原と特定された.両試験は67.4%から96.8%の一致率を示した.抗原特異的IgEの感度は皮内試験と比較して16.7から68.2%であった.特異性は全ての抗原に対して94.9−100%の高値を示した(平均=98.7).最終的に,皮内試験(15例)と抗原特異的IgEの測定(12例)の結果に基づいて27例のアトピー犬に対する減感作療法の有効性を検討した.50%から100%まで症状の改善が認められたのは皮内試験群では60%(9/15),抗原特異的IgEの測定群では66.8%(8/12)の症例であった.以上の結果から抗原特異的IgEは減感作療法に用いる感作抗原の特定方法として有用な検査方法であることが示唆された.
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