抄録
野外で下痢,嘔吐を呈している豚から分離され,しかも実験的にはSPF豚に限って,その上脳内接種の場合のみ発症させる豚エンテロウイルスChico株を用い,高濃度の炭放ガス吸入が発症に及ぼす影響を調べた.SPF豚においては,ウイルスを静脈内接種した直後,30%に炭聚ガスを含んだ空気を1乃至10分間吸入させたものに後肢麻痺,下痢,嘔吐を認め,通常の豚では,静脈内又は経口的にウイルスを投与し,30%又は15%の炭俄ガスを吸入させたもので下痢と嘔吐を認めた.一方Teschcnウイルス群と血清学的に関係のあるEl株では,その強い病原性から,これらの影響を認めることは出来なかった.