抄録
アヒルにおける抗horseradish peroxidase抗体産生細胞の分布と形態とを, 光学顕微鏡的および電子顕微鏡的免疫細胞学によって検討した. 典型的な抗体産生細胞は脾臓赤髄ないし胚中心における形質細胞または大型リンパ球であった. 胚中心域には2型の陽性細胞が区別され, そのうちで多数をしめるものは樹枝状細胞で, 他は抗体産生細胞であったが, これらの抗体産生細胞は胚中心域以外に出現したものよりも遅く出現した. 脾臓白髄における他のリンパ球, すなわち動脈周囲リンパ球, 静脈周囲リンパ球および莢中心毛細管周囲リンパ球は抗体産生像を示さなかった. これらの結果は, アヒルの抗体産生細胞の一部は胚中心内に生じることから, 脾臓およびリンパ節における胚中心は抗体産生機構の中で重要な機能をはたしていることを示していると考えられる.