抄録
パルボウイルス感染症に罹患したイヌの腸陰窩上皮細胞を電顕で観察した結果, ネコ汎血球減少症感染ネコの腸陰窩上皮細胞における所見とほぼ同様の所見を得た. すなわち, 光顕的両染性封入体を形成した上皮細胞核内にウイルスの増殖像が確認された. 陰窩の固有の位置にあり, 感染の初期ないし中期にあると思われる上皮細胞核内には, ウイルス粒子が播種状に認められたのに対して, 後期にあると考えられる細胞では, 細胞質にも多数のウイルス粒子が認められた. さらに陰窩腔に脱落した細胞の核内では, ウイルス粒子はしばしば結晶様配列を示し, これと関連して, 微細な格子様紋理が観察された.