日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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ゲタウイルスに関する研究: MI-110株の生物学的, 物理化学的, 血清学的諸性状について
鎌田 正信熊埜御堂 毅安藤 泰正福永 昌夫今川 浩和田 隆一秋山 緯
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1982 年 44 巻 1 号 p. 89-95

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抄録
ゲタウイルス自然感染発症馬の血漿から分離されたMI-110株の生物学的, 物理化学的, 血清学的諸性状について詳細に調べた. Vero細胞で10代継代されたMI-110株は広範な感受性細胞域を有し, 初代馬胎仔肺, BHK-21, HmLu, Veroの各細胞培養で最も高い増殖性を示した. また, 熱(50℃以上), 酸(pH5.0以下), アルカリ(PH10.0以上), 高濃度のトリプシン(0.25%以上)に感受性で, 20℃ および 37℃ の温度域では不安定であった. しかしながら, 10℃では3力月間, 4℃では6力月間, -20℃および-80℃では2年以上にわたってウイルス価が保持された. 交差中和, 血球凝集抑制および補体結合試験において, MI-110株は AMM 2021, ハルナおよびサカイ株と血清学的に完全に一致した. しかしながら, サギヤマウイルスとは中和および血球凝集抑制試験において, やや異なっていることがわかった. 以上の成績から, 4株のゲタウイルス (AMM 2021, ハルナ, MI-110, サカイ) は血清学的に全く同じウイルスで, サギヤマウイルスはゲタウイルスのサブタイプと考えられた. なお, 4株のゲタウイルスは, いずれの試験においてもロスリバーウイルスと弱い交差反応を示したが, チクングニアウイルスとは補体結合試験を除き交差しなかった.
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