日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
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44 巻, 1 号
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  • 津村 巌, 佐々木 博一, 南 三郎, 野並 耕志, 仲庭 茂樹
    1982 年44 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1962年4月より16年間にわたり県内と畜場より蒐集した牛709頭, 豚791頭の雌性生殖器について, とくに卵巣および卵管周囲に発生する嚢胞を肉眼的・組織学的に検索したところ, 牛に815個, 豚に525個の嚢胞の発生がみられ, 発生率はおのおの32.3%, 29.3%であった. 発生部位は牛では采に多く(81.0%), 豚では卵管間膜に多くみられ(62.9%), 卵巣間膜においては牛・豚ともに発生率は極めて低く, いわゆる parovarian cyst の発生は稀であった. 卵管間膜に発生した嚢胞で卵管を圧迫していたものは牛では6個, 豚で14個みられた. 組織学的には嚢胞は3型に分類されたが, 性周期との関連性を追求したところ, 嚢胞は性周期反応を示すもの(反応型)と, 全く性周期反応を示さないもの(無反応型)に分類された. 反応型嚢胞上皮の性周期反応は, 卵管上皮のそれと極めて類似していた. それらを発生部位的に観察したところ, 後者は卵巣間膜および卵管間膜に発生し, 采での発生はみられなかった. また前者は間膜内にも発生がみられたが, 采に集中する傾向がみられた. これらの嚢胞はその発生部位および組織学的特徴から反応型は旁中腎由来, 無反応型は中腎由来のものと考えられた. 嚢胞による卵管圧迫例においては, いずれも卵管閉塞に至ったものは認められなかった. しかし卵管ヒダの部分的萎縮および消失が認められた.
  • 元井 葭子, 小原 嘉明, 林 光昭
    1982 年44 巻1 号 p. 9-14
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    濃厚飼料多給下で肥育した牛の消化管内容物および血中のヒスタミンの変動について観察した. 実験には15週齢のホルスタイン系去勢雄牛7頭を用い, 4頭 (C群) には濃厚飼料を, 3頭 (H群) には対照として粗飼料をそれぞれ多給し, 約10力月間飼育した. 第一胃内容物と血液は2~3週間ごとに採材し, ヒスタミン濃度を測定した. 血中ヒスタミンは両群とも大きな変動を示し, その変動は両群ともほぼ同様であった. 全体的に両群間に有意差は認められなかった. 第一胃内容物のヒスタミン濃度も両群で大きく変動し, 変動幅はH群で大きかった. H群におけるヒスタミン濃度は, 実験期間の中期以降から, C群に比べて有意に高い値を示した. 試験終了時に各牛をと殺し, 消化管内容物のヒスタミン濃度を測定したところ, C群はH群に比較して, 第一胃と第三胃で低く, 十二指腸と回腸内容物は高かった. その他の部位では有意差は認められなかった. これら消化管内容物の pH は, 全般的にC群が低い傾向にあったが, とくに第一胃, 第三胃および十二指腸内容物において著しく低下していた.
  • 牧村 進, 鈴木 直義
    1982 年44 巻1 号 p. 15-21
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Tarukoskiの方法に適切な改良を加え, 牛ハプトグロビン(Hp)の定量法を考案した. 本法は, 稀釈メトヘモグロビン(Hb+)と血清の混合物を pH 4.1 の o-dianisidine 液に37℃ 45分間インキュベートして, HpHb のべルオキシダーゼ活性は維持しつつ, 遊離 Hb の活性をほぼ完全に失活させることによりおこなわれた. 本法は混入 Hb が 150mg/100ml 以下の溶血サンプルでも, 比較的信頼できる測定値が得られた. さらに本法による測定値は, Polyacrylamide-gel disc electropnoresis による Hp の半定量的検出結果とよく一致していた. 何例かの疾病牛への本法の適用では, 乳房炎, 子宮蓄膿症, 創傷性第二胃炎等の激しい炎症性疾患牛で, 血清 Hp の著増 (80-130 mg/100 ml HbBC) を認め, 一方正常健康牛の血清中には, Hpはきわめて僅かかまたは全く検出されなかった.
  • 土井 邦雄, 藤波 不二雄, 八十島 昭, 大川 仁, 岡庭 梓
    1982 年44 巻1 号 p. 23-29
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Dirofilarria immitis 寄生ネコ3匹を病理学的に検索した. 主な病変はD. immitis の寄生した肺動脈枝に認められた. 肺動脈枝の病変は, 末梢の小口径の血管では平滑筋細胞の増殖による中膜の肥厚により, また, 大口径の血管では内膜の線維性肥厚により, それぞれ特徴づけられた. さらに, 大口径の血管でD. immitis の死体を含む部位では, 死んだ虫体を含む血栓の形成および器質化がみられると同時に, 血管壁の全層およびその周囲の疎性結合織にまで波及する重篤な変性性お上び滲出性変化が認められ, ときおり血管の固有構造がほとんど識別できないこともあった. このことは, 死んだ D. immitis の存在と高度の肺動脈枝病変との間になんらかの因果関係があることを示唆するものと考えられる.
  • 上原 正人, 上嶋 俊彦
    1982 年44 巻1 号 p. 31-38
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Glycogen body (GB)の存在領域とその他のグリコーゲンの分布を組織学的に観察し, さらに生化学的に脊髄各部のグリコーゲン含有量を測定した. GBは第26-28脊髄節の大きく拡大した左右背索間に存在するのみならず, 他部において著しく縮小するとは言え脊髄全長にわたって連続的に分布していた. その他のグリコーゲンは腰仙髄において脊髄表層, 特に腹索腹側縁, Major marginal nuclei および下位尾髄に高濃度で認められた. 脊髄全体のグリコーゲン含有量は平均 47.2±2.7mgであった. そのうち, 頸髄は約25%, 胸髄は約13%, 従来の定義によるGBの存在領域とされてきた第26-28節は約52%, 第26-28節を除く腰仙尾髄は約10%を占めた. 第26-28節はきわめて高濃度にグリコーゲンを含有し, そのほとんどはGB由来と見なされるとは言え, 総グリコーゲン量の約半分に過ぎない. 従って他部脊髄に含まれるグリコーゲンはそのほとんど全部がGB由来と考えられることから, GBの機能を検討するに当たって, 従来の定義によるGBのみならず, 脊髄全長にわたって分布するGBにも十分考慮するべきであろう.
  • 山田 明夫
    1982 年44 巻1 号 p. 39-47,50
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウシの第4胃変位およびアトニーの発生要因を明らかにする目的で, 第4胃変位罹患牛24例に対してX線透視および病理組織学的所見を主体とした検索を行った. このうち14例は第4胃整復手術によって治癒したもので, 他の10例はと殺し, 病理学的に検索した. X線透視所見では, 第4胃の変位・拡張の他に, 第1胃の食滞あるいは鼓脹像, 第2胃の収縮力の減退を伴ったアトニーなどの前胃運動機能低下像が全例で観察された. また, 第2胃内鋭性金属異物の存在が22例 (92%) で認められた. このうち8例は, 異物が胃壁に刺入しており, 2例では, 異物が第2胃胃壁に強く接触することによって, 第2胃および第1胃運動が明らかに抑制されるのが観察された. 病理組織学的所見では, 複胃の筋層平滑筋および壁内走行神経束病変が, 動脈性細血管の水腫性を伴い, 第3胃および第4胃で比較的新鮮な病変, 第2胃で陳旧に傾いた病変として頻繁に観察された. しかし, 噴門直下に異物にもとつく炎症事象が認められた症例では, 陳旧に傾いた病変が, 腹部腹側迷走神経幹の複胃での分布領域 (第1胃を除く複胃) に一致して観察された. 以上の成績から, 第4胃変位およびアトニー発現の前状態として, 前胃運動機能低下の存在が指摘され, 前胃運動機能低下の誘発要因の一つとして, 第2胃内鋭性金属異物の胃壁への機械的刺激が重視された.
  • 山田 明夫
    1982 年44 巻1 号 p. 51-62
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    前報の第4胃変位罹患牛24例の検索成績から, ウシの第4胃変位およびアトニー発現の前状態として前胃運動機能低下の存在を指摘し, 前胃運動機能低下の誘発要因の一つとして第2胃内鋭性金属異物の影響が重視された. 今回は, 第2胃内金属異物と第4胃アトニーおよび前胃運動機能低下との関連を明らかにする目的で, 2頭の去勢牛に創傷性第2胃炎を起こさせ, これをX線透視および病理学的に検索した. X線透視所見: 第2胃では, 鋭性金属小片の経口投与および針金の噴門直下第2胃神経叢への穿刺・固定によって, その直後から tonus, 7日目には atony が発現した. 第1胃では, 反復性ないし持続性の鼓脹あるいは食滞が誘発した. 第4胃では, 噴門直下第2胃神経叢への針金の穿刺・固定によって, その直後から tonus, 5~6日後に Atony が発現した. 病理組織学的所見: 複胃の壁筋層平滑筋および壁内走行神経束の荒廃事象が, 動脈性細血管の水腫性変化を伴って観察された. これらの病変は腹部腹側迷走神経幹の複胃での分布領域 (第1胃を除く複胃) に一致して観察された. 以上の成績から, ウシの第4胃変位の必要前提条件とされている第4胃アトニーおよび前胃運動機能低下の発生要因の一つとして, 第2胃内鋭性金属異物の胃壁への機械的刺激が重要な役割を演じることが明らかとなった.
  • 早崎 峯夫
    1982 年44 巻1 号 p. 63-70
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬糸状虫人工感染犬のレアギン様抗体および赤血球凝集抗体の動態を受身皮膚アナフィラキシー反応と間接赤血球凝集反応により検討した. レアギン様抗体は, 虫体の第4脱皮期に一致して, 感染後65日に初めて認められ, その後, 一過性に消失したが, 再び出現して ミクロフィラリア血症の発現時期には増高した. レアギン活性は, 56℃, 60分の熱処理および還元・アルキル化処理により完全に失活した. また, レアギン活性は Sephadex G-200 によるゲル炉過の第2ピーク(IgG)の上昇部分に検出され本抗体の分子量が,IgGのそれよりもわずかに大きいことを示した. 赤血球凝集抗体は, 感染後19日に初めて検出され, 以後, 実験終了時まで漸増した. 赤血球凝集抗体価は, 2峰性に推移し, 各ピークは, それぞれ第4脱皮期およびミクロフィラリア血症の発現時期と一致した.
  • 藤永 徹
    1982 年44 巻1 号 p. 71-79
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    大型ピロプラズマ (Babesia ovata) 実験感染牛に対し, 摘脾およびデキサメサゾン(DM)を投与し, その臨床症状と間接蛍光抗体法によって検出される抗体(IFA)との関係を調べた. 摘脾後に凍結保存原虫を皮下接種した9頭では, 非摘脾対照牛4頭に比し, 原虫寄生率は著るしく上昇し, 重度の貧血を呈して5頭が死亡または瀕死期に殺処分された. 摘脾攻撃ののち, DM (0.1 mg/体重kg/日) を1~4日間投与した8頭はすべて死亡または瀕死期に殺処分された. 以上の死亡または殺処分された13頭では, 耐過牛8頭(非摘脾, 摘脾牛各4頭)に比し, 抗体応答が弱かった. 非摘脾耐過牛2頭に DM (0.1 mg/kg/日)を7日間投与したが, IFA価は変動せず, パラシテミアも認められなかった. しかし, 非摘脾耐過牛3頭を摘脾したところ, IFA価の軽度の低下および軽度のパラシテミアが認められた. うち2頭に DM (0.1または0.15 mg/kg/日)を7または9日間投与したが, 非投与牛に比し, パラシテミアが特に上昇したという所見は得られなかった. 以上の成績について, 大型ピロプラズマ病における液性および細胞性免疫と肝臓の役割の重要性について若干の考察を試みた.
  • 八十島 昭, 土井 邦雄, 小嶋 明廣, 岡庭 梓
    1982 年44 巻1 号 p. 81-88
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    パルボウイルス感染症に罹患したイヌの腸陰窩上皮細胞を電顕で観察した結果, ネコ汎血球減少症感染ネコの腸陰窩上皮細胞における所見とほぼ同様の所見を得た. すなわち, 光顕的両染性封入体を形成した上皮細胞核内にウイルスの増殖像が確認された. 陰窩の固有の位置にあり, 感染の初期ないし中期にあると思われる上皮細胞核内には, ウイルス粒子が播種状に認められたのに対して, 後期にあると考えられる細胞では, 細胞質にも多数のウイルス粒子が認められた. さらに陰窩腔に脱落した細胞の核内では, ウイルス粒子はしばしば結晶様配列を示し, これと関連して, 微細な格子様紋理が観察された.
  • 鎌田 正信, 熊埜御堂 毅, 安藤 泰正, 福永 昌夫, 今川 浩, 和田 隆一, 秋山 緯
    1982 年44 巻1 号 p. 89-95
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ゲタウイルス自然感染発症馬の血漿から分離されたMI-110株の生物学的, 物理化学的, 血清学的諸性状について詳細に調べた. Vero細胞で10代継代されたMI-110株は広範な感受性細胞域を有し, 初代馬胎仔肺, BHK-21, HmLu, Veroの各細胞培養で最も高い増殖性を示した. また, 熱(50℃以上), 酸(pH5.0以下), アルカリ(PH10.0以上), 高濃度のトリプシン(0.25%以上)に感受性で, 20℃ および 37℃ の温度域では不安定であった. しかしながら, 10℃では3力月間, 4℃では6力月間, -20℃および-80℃では2年以上にわたってウイルス価が保持された. 交差中和, 血球凝集抑制および補体結合試験において, MI-110株は AMM 2021, ハルナおよびサカイ株と血清学的に完全に一致した. しかしながら, サギヤマウイルスとは中和および血球凝集抑制試験において, やや異なっていることがわかった. 以上の成績から, 4株のゲタウイルス (AMM 2021, ハルナ, MI-110, サカイ) は血清学的に全く同じウイルスで, サギヤマウイルスはゲタウイルスのサブタイプと考えられた. なお, 4株のゲタウイルスは, いずれの試験においてもロスリバーウイルスと弱い交差反応を示したが, チクングニアウイルスとは補体結合試験を除き交差しなかった.
  • 林 俊春, 渡部 嘉範, 中山 裕之, 藤原 公策
    1982 年44 巻1 号 p. 97-103,106
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    臨床・病理・血清学的にネコ伝染性腹膜炎(FIP)と診断され死亡したネコ4例および仔ネコの実験接種例14例について, 腸病変とウイルス抗原あるいはウイルス粒子の所在を検索した. 自然例2例および実験例12例が下痢を発した. 多くの病例の小腸・大腸粘膜は水腫性に肥厚し, 腸内容は水様~粘液状であった. 自然例3例および実験例12例の小腸・大腸病変は粘膜上皮の変性・剥離・増生を特徴とする比較的表在性の変化で, 固有層には浮腫, 少数の好中球お上び単核細胞浸潤がみられ, 隣接上皮細胞相互の癒合もしばしばみとめられた. しかし, 他の自然例1例および実験死亡例2例では, 小腸・大腸ともに炎症病変は激しく粘膜深部に及んでいた. これらの自然例および実験例の腸上皮細胞細胞質にはウイルス特異蛍光がみられ, 電顕ではコロナウイルス粒子が検出された. コロナウイルス粒子は自然例および実験例の糞便中にも検出された. 以上のことから, 腸病変部から排出されたウイルスが糞便を介して伝播する可能性が示唆された.
  • 菊池 直裁, 角田 修男, 川上 善三, 村瀬 信雄, 河田 啓一郎
    1982 年44 巻1 号 p. 107-113
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    北海道の某サラブレッド生産牧場の不妊馬を対象として細菌検索を進めていたところ, 1980年5月, 子宮頸管からの白濁粘液の排泄および外子宮口の充血と浮腫を主徴とする臨床症状を示す雌馬が多数発見された. これらの臨床所見は1976年アイルランドで初めて発生したいわゆる馬伝染性子宮炎のそれと一致した. 罹患馬の外子宮口ぬぐい液を5%馬血液加ユーゴンチョコレート寒天培地を用い, 10%CO2存在下で培養したところ, 17頭の材料から直径 0.5-2.0mm の円形, 辺縁円滑, 灰白色の光沢あるコロニーを形成し, グラム陰性, オキシダーゼおよびカタラーゼ試験陽性の短桿菌を分離した. この菌は他の生物学的性状, 酵素活性試験, 対照株ケンタッキー188との交差凝集反応から馬伝染性子宮炎の病原体 Haemophilus equigenitalis と同定された. また, H. equigenitalis を分離した馬は凝集反応と補体結合反応で抗体の上昇を確認し, これらの反応が感染初期の判定に効果があることを明らかにした.
  • 佐伯 英治, 今井 壮一, 樋山 正士, 藤田 潯吉, 石井 俊雄
    1982 年44 巻1 号 p. 115-123
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    実験用のコンベンショナルハムスターおよびマウスの盲腸に SyPhacia 属蟯虫の寄生を認めた. これらの虫体について光顕および走査電顕による形態学的観察をおこなった. その結果, ハムスターより得られた虫体は Syphacia mesocriceti であると同定され, マウスより得られた Syphacia obvelata とはその各部の計測値と走査電顕による形態に相違を認めた. S. misocriceti の形態を要約すれば下記のようになる. (l) 頸翼は生鮮時においても著明に認められる. (2) 走査電顕的には頭部と口部の形態が特徴的で, 口唇は三角形で前方に突出し, 辺縁は不正形を呈していた. (3) 走査電顕的にマメロンは溝の深い環状構造で構成され, その側縁は多数の棘状突起からなっていた. (4) 虫卵の計測値は S. obvelata のそれと有意差はなく, 虫卵だけでは両者を識別し難い. 本論文の要旨は第84回日本獣医学会(1977)において報告した.
  • 斎藤 徹, 小坂 忠司, 高橋 和明
    1982 年44 巻1 号 p. 125-126
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    精管結紮雄マウスの交尾によって誘起された偽妊娠マウス(IV CS 系)の血漿 progesterone 濃度を radioimmunoassay 法により測定した. 腟スミアより判定した偽妊娠期間は 8.2±0.4日であった. Progesterone 濃度は偽妊娠 0日目 (plug の検出日) で最低値 (2.0 ng/ml), その後漸次増加し, 偽妊娠6日目で最高値 (24.3 ng/ml) を示した. 偽妊娠7日目より減少し, 8日目で 4.7 ng/ml の値を示した.
  • 一条 茂, 細川 暁, 金 徳煥, 小西 辰雄
    1982 年44 巻1 号 p. 127-129,132
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Eperythrozoon ovis 人工感染緬羊の血液と骨髄液の電顕学的観察により, 本虫体は大きさ 0.2-0.6μm の桿状およびリング状の寄生体で単層の限界膜を有し, 内部にリボゾームに類似した顆粒を密に含有することを知った. また, 虫体の周辺部には糸状構造物を持ち,それを介して付着する像を認めた. 骨髄液の検索により, E. ovis は骨髄で増殖して赤芽球の時期からすでに寄生することが確認された.
  • 菅野 茂, 広瀬 昶, 澤崎 坦
    1982 年44 巻1 号 p. 133-135
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    無加温で測定でき, しかも小型で操作の簡便なラットの非観血的な尾動脈血圧測定器を試作した. 無麻酔の SD, Wistar および SHR ラットを用いて, 直接法(頸動脈圧)と著者らの間接法(尾動脈圧)による同時記録を試みたところ, いずれの場合にも有意な直線性が得られた. 従って, この試作器を用いたラット血圧の非観血的測定法は実用に供しうると考えられた.
  • 前出 吉光, 大杉 剛生, 大泰司 紀之
    1982 年44 巻1 号 p. 137-139,141
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    北海道勇払地方の道路上で衰弱して保護された約3力月齢のキツネの血中から, ヘパトゾーンのガメトサイトが発見された. 同ガメトサイトは長径 9.8~10.4μm, 短径 5.5~6.5μm の卵円形または長楕円形で, 透明な被膜に包まれ, 淡青色の細胞質と濃赤紫色の核を有していたが, 核はしばしば変形し, 染色性が低下していた. これらは通常, 好中球の細胞質内に存在していたが, まれに血漿中に遊離するものもみられた. 現在まで, キツネにおけるヘパトゾーン感染の報告はない. 今回発見されたヘパトゾーンの種類およびその病原性については, 今後の研究が必要である.
  • 乾 俊秀, 高田 博, 岡庭 梓, 藤波 不二雄, 土井 邦雄
    1982 年44 巻1 号 p. 143-145,148
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    SD系ラット3例に自然発生した腎臓腫瘍の病理組織学的検索を行った. 腫瘍は管を形成する一層の上皮性細胞と, その周囲に塊状に増殖する未分化な芽種性細胞から成り, 主に膠原線維から成る間質で分画されていた. この組織構築から腫瘍は腎芽腫と判断された. また, これらの上皮性細胞と芽種性細胞には電顕的に本質的な差を認めず, 組織構築が後腎胚種質に類似することと合わせ, 本腫瘍は腎実質上皮性の腫瘍であると考えられた.
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