抄録
大量のビタミンD2とコレステロールの混合物を短期間投与したラットにおける動脈系の病理学的変化を, 投与終了後3力月にわたり経時的に観察した. 処置後1力月以降になると, 壊死に陥り, 石灰および脂肪沈着のみられる大動脈の中膜には, さらにある種の多糖類の沈着が目立つようになった. 大動脈における増殖性の変化は, 処置後2ないし3力月になって目立つようになるが, それは, 多くの場合, 著しい石灰沈着によって硬化した弾性板が破綻した部位の内膜あるいは中膜に限局して観察された. 脂肪沈着あるいは泡沫細胞の出現は,このような増殖した内膜部位においても全く認められず, 本実験で用いた処置だけでは大動脈にいわゆる粥腫性病変が作出される可能性は少ないと判断された. 一方, 筋型動脈である冠状動脈および腸間膜動脈には, 処置後1ヵ月以降に内膜および中膜における平滑筋細胞の増生ならびに外膜もしくは血管周囲における線維増生による著しい壁の肥厚など内膜増生型の動脈硬化症と診断される変化が観察された.