日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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抗体感作ネコにおける伝染性腹膜炎ウイルス経口接種後の初期腸病変形成における好中球の役割
林 俊春山越 純網 康至藤原 公策
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1984 年 46 巻 3 号 p. 273-279

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抄録
ネコ伝染性腹膜炎 (FIP) ウイルス胃内接種直前に, 高力価の免疫腹水を投与すると, 接種翌日から3日までに腸管および内臓に早期に病変が出現した。接種翌日には小腸粘膜固有層にウイルス抗原をもつ少数の好中球の浸潤がみられた。接種後3日には小腸・大腸粘膜固有層~粘膜下組織に中度あるいけ重度の好中球, マクロファージ, ときにリンパ球, プラズマ細胞を混じた浸潤, 腸粘膜上皮の剥離が観察され, ウイルス抗原は好中球のみならず, マクロファージおよび腸粘膜上皮にも検出された。これらの成績から, 好中球が初期の腸病変の発現に重要な役割を果していることが示唆された。
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