日本草地学会誌
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セルラーゼによる牧草細胞膜物質の分画とその応用
阿部 亮堀井 聰
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1974 年 20 巻 1 号 p. 16-21

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抄録
牧草細胞膜物質のセルラーゼ加水分解反応の解析を行ない,さらにその反応の栄養価値推定への応用を試みた。細胞膜物質のセルラーゼ分解反応は2つの1次反応より成立し,反応の非常に速い分画と比較的緩慢な分画とに分別し得た。分解が速く進む部分を主体とする領域をa-領域,緩慢な部分をb-領域とするとa-領域はリグニン,ケイ酸に被覆されることが少ない部分で緬山羊による見かけの消化率も34点の平均値で91%と非常に高い値を示す構造炭水化物であり,この領域の含有量が高い飼料ほどTDN含量も高かった。逆にb-領域量はリグニン,ケイ酸に被覆されている部分であることが予想され,消化率もa-領域量よりかなり低く,その含量が高い程TDN含量は低かった。また,試料の中性デタージェント,セルラーゼの連続処理における乾物分解率と乾物消化率,TDN含量との間に有意な高い値の相関係数が得られた。
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© 1974 著者
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