抄録
1982~1983年に, メキシコで生産された一見正常で健康なモルモットの腎初代培養(GPK)細胞から, 細胞病原性を示す因子が分離された. この因子は, GPK細胞において, 好酸性核内封入体を形成し, その増殖はIUdRによって抑制され, DNA型のウイルスであることが示唆された. また, エーテル, クロロホルム及び酸に対して感受性を示し, 200nmメンブランフィルターを通過したが, 100nmのそれを通過しなかった. 電顕観察では, エンベロープをもつ球形ウイルス粒子が認められた. これらの性状は, ヘルペスウイルス群の性状と一致していた. メキシコで育成された3~4週齢モルモット46例中4例及び繁殖用モルモット30例中9例では, 分離ウイルスに対する中和抗体が検出されたが, 日本のモルモットその他の動物には, 中和抗体は検出されなかった.