抄録
天北地方は北海道の最北に位置する有数の酪農地帯で肝蛭症の発生が多いが, 冬の気象条件が厳しく, 日本各地で肝蛭の中間宿主となるヒメモノアラガイ L. ollulaは分布していない。本研究では天北地方における肝蛭の中間宿主を決定するため, 豊富町で採集した肝蛭卵を用いて, 天塩町産のコシダカモノアラガイ L. truncatulaとヒロクチモノアラガイ L.auriculariaに対する感染実験を行った。肝蛭は前者だけに感染し, 38~45日後にセルカリアが遊出した。得られたメタセルカリアを山羊に与え, 64~71日目に虫卵の排出がみられ, 剖検により虫体が回収された。以上から, 天北地方における肝蛭の中間宿主はコシダカモノアラガイであることが確認された。