抄録
日本におけるイヌ15品種の赤血球型出現頻度と遺伝子頻度について, 13種類の赤血球型判定用抗体を用いて調査した。DEA1, DEA3, DEA6, DおよびJ1システムはその赤血球型の頻度に品種間の明らかな差を認めた。それらの中で, とくに, Dシステムは日本在来種と欧米産種との間に明らかな偏在性を認めた。すなわち, 日本在来種の秋田種, 柴種のD1遺伝子頻度は高く, 一方, 欧米産の品種では逆にD2遺伝子頻度が高い値を示し, 日本産雑種はその中間に位置する値を示した。他のシステムにおいては, 日本在来種を特徴づけるような偏在性は認められなかった。なお, いずれの赤血球システムもそれらの頻度と性差との関連性はみられなかった。