日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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ネコ胎盤におけるハイドロキシステロイド脱水素酵素の局在と経時的変化について
伊藤 純治木曽 康郎山内 昭二
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1987 年 49 巻 2 号 p. 225-233

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抄録
ネコの胎盤および卵巣についてハイドロキシステロイド脱水素酵素 (HSD) を組織化学的に検出し, 胎盤におけるステロイドホルモン産生能を検討した。胎盤におけるΔ5-3β-HSD活性は迷路部および接合帯の栄養膜のみに局在し, 妊娠初期から弱度ながら活性がみとめられ妊娠経過とともに徐々に上昇して, 妊娠約45日前後に最高に達し, その後やや減少した。17β-HSD活性は妊娠期を通じて弱度の活性が子宮腺の腺上皮にのみ局在した。20αおよび20β-HSD活性は全時期検出されなかった。G-6-PDH活性は栄養膜および腺上皮に局在した。卵巣におけるΔ5-3β-HSD活性は, 黄体, 卵胞膜および間質腺に局在した。黄体における酵素活性は妊娠初期から中期にかけて強度であり, その後減少した。以上の成績から, ネコの胎盤におけるprogesterone産生は迷路部および接合帯の栄養膜で行なわれ, 妊娠45日以後の妊娠維持にきわめて重要であることが示唆された。
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