日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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ペプチドグリカン投与による離乳期子豚小腸粘膜固有層の免疫増強
佐々木 隆志前出 吉光波岡 茂郎
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1987 年 49 巻 2 号 p. 235-243

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抄録

豚腸内菌叢のひとつBifidobacterium thermophilum由来ペプチドグリカン (PG) を子豚の生下時から5日齢まで, および3週齢に1日1回3日間経口投与し離乳後の5および6週齢の小腸各部粘膜固有層における免疫グロブリン (Ig) 保有細胞数および小腸内大腸菌数をしらべ, PG非投与豚におけるそれらの成績と比較した。PG投与後の5および6週齢における小腸中部および回腸粘膜固有層Ig保有細胞数は非投与群のそれに比べて有意 (Pく0.01) に多かった。また, PG投与および非投与群の該部におけるIgAおよびIgM保有細胞数の比率をみると, 前者ではIgA保有細胞数がIgMのそれを上回った反面, 後者ではその比率が逆転していた。さらに, 小腸各部位における大腸菌数では, PG投与群のそれらは非投与群に比べて少なかった。以上の成績から, 哺乳期子豚におけるPG投与後子豚の消化管局所の免疫応答応が増強されることが示唆された。

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