抄録
ウイスター系雄ラットについて, 正常体温 (35-37℃) および低体温 (30-25℃) 時またはイソプロテレノール投与 (1.5or3.0μg/kg, i. v.) 前後の肢誘導心電図, 胸部単極誘導心電図, ベクトル心電図および単極誘導心表面電位図を記録した. 体温の下降に伴い, 肢誘導心電図には, RR間隔の一時的短縮とともにQT間隔の延長が発現し, 続いてT波は二峰化された. 低体温時とイソプロテレノール投与後のべクトル心電図にはQRS環の変形を伴わずに前額面および水平面のT環のみに明らかな変形が現れた. 一方, 正常体温の無処置ラットにおいても, 胸骨近辺の胸部単極誘導心電図および心室中隔近辺の単極心表面電位図に二峰性T波が認められ, 低体温にするかイソプロテレールを投与することによって, 胸部および心室表面のほぼ全域から二峰性T波が記録されるようになった. 以上の成績から, 肢誘導心電図において認められる二峰性T波はもともと局所的に存在し, 正常ラット心室筋でも認められる現象が, 低体温またはイソプレテレノール投与によって顕在化されたものであることが示唆された.