抄録
Corynebacterium renale No.115株の有線毛(P+)菌および無線毛(P-)菌のマウス好中球による食菌を調べた. オプソニンの存在しない条件,5%の補体のみ,あるいは抗線毛血清のみ,抗P+菌血清のみ,抗P-菌血清のみのいずれかが存在する条件では,P-菌がP+菌より有意に多く食菌された. P+菌の取り込みは,抗線毛血清と補体あるいは抗P+菌血清と補体の存在下で上昇し,P-菌と同程度取り込まれた. 抗線毛単クローン性抗体16/15および13/4は補体の存否にかかわらず,P+菌に対しオプニソン効果があり,P-菌に対してはなかった. 抗線毛単クローン性抗体16/5と13/4のオプニソン効果は抗線毛血清と補体の両者が存在する場合よりも弱かった. P-菌の取り込みはオプニソンが存在する条件としない条件ではぼ同じであった. またマウス好中球によるこれらの食菌の結果を以前報告したマウスマクロファージによる食菌の結果と比較して考察した.