日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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ネコ伝染性腹膜炎ウイルスによって誘発されたネコのインターロイキン1の産生
後飯塚 僚恩田 千景廣田 好和長谷川 篤彦友田 勇
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1988 年 50 巻 1 号 p. 209-214

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抄録
ネコ伝染性腹膜炎(FIP)ウイルスに曝露されたネコ肺胞マクロファージ培養上清中のインターロイキン1 (IL-1)活性をマウス胸腺細胞の増殖反応を用いて検索したところ,培養開始後48時間から96時間にかけて高い活性が認められた. IL-1は56℃,30分の熱処理で活性が低下し,Sephacryl S-200を用いたゲル〓過で分子量約15000 daltonであることが明らかになった. これらの物理化学的性状はlipopolysaccharide (LPS)で誘発されたネコIL-1のそれと類似していた. クロマトフォーカシング法を用いて検索した結果,FIPウイルス誘発のネコIL-1の等電点は,4.1, 4.8, 5.3および6.8であり,前3者はヒ卜のIL-1αに,等電点6.8のIL-1はIL-1μに相当すると考えられた. FIPウイルス誘発のネコIL-1は,LPS誘発のIL-1に比べ,等電点6.8のIL-1の比率がより大であった.
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