日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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陰睾犬における陰嚢内固定手術後の造精機能について
河上 栄一筒井 敏彦山田 陽一小笠 晃山内 亮
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1988 年 50 巻 1 号 p. 227-235

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抄録
片側性陰睾の成犬12頭,未成熟犬3頭お上び両側性陰睾の成犬1頭に陰嚢内固定手術を実施後,2, 4または8週間隔で精巣容積,精巣バイオプシーの組織所見を観察するとともに,末梢血・精巣静脈血中テストステロン値を測定した. 手術後,陰睾側精巣容積は明らかに増大し,未成熟犬では術後8週,成犬では10週で,陰睾側精巣の精細管内に少数の精子が認められた. さらに術後20, 24週では陰睾側と対照側の精巣組織所見に大きな相違はみられず,とくに術後の下降側精巣における精細胞数の増加が注目された. 手術後一過性に悪化した精液性状は,術後の経過時間とともに改善された. 末梢血および両側精巣静脈血中テストテロン値は,固定手術後徐々に増加した. 以上のごとく,犬では陰睾側精巣を陰嚢腔内へ下降させることにより,両側精巣の造精機能が促進されることが判明した.
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