抄録
細胞融合によるボツリヌス毒素に対する単クローン抗体作製の過程で,大分子量の抗体存在が予想されたので,これを製精して性状を調べた. 単クローン抗体を含む腹水をSephadex G-200でゲルろ過し,IgG・IgM間に溶出される画分を,抗原(毒素)を結合させたカラムに負荷して,目的物質を分離製精した. 製精標品は,disc電気泳動で移動率の異なる3バンドを示し,すべての成分が抗体活性を有していた. SDS電気泳動では,245,000, 22,000, 188,000, 152,000, 135,000, 105,000, 75,000, 67,000, 52,000,および25,000のバンドが検出された. 2-メルカプトエノタール処理により,135,000以上のバンドは消失し,通常IgGの重鎖と軽鎖の他に,120,000, 82,000および67,000のバンドが検出された. 標品はゲル内沈降反応で抗IgG抗体と反応したが,抗IgM抗体および抗IgA抗体とは反応しなかった. 以上の結果から,細胞融合では通常IgGの他に,大分子IgGも産生されていることが示唆された.