抄録
本模擬裁判は、攻撃的性格、習慣飲酒、身体疾患、在宅勤務への復職請求に加えて、表面的な休職理由の消滅と真の根本原因である精神症状の存在疑いについて、どのように扱うかが問われる事案である。本事案における労働者及び会社対応の妥当性、労働者自身の会社指定医診察に対する非協力、休職理由の消滅及び追加などにつき、労働者側弁護士、主治医、会社側弁護士、産業医、総括コメンテーター(産業医)それぞれの立場から討議がなされた。議論を通じ、法学と医学、使用者側と労働者側それぞれの立場の違いから、事案に対する見方や考え方の違いがあることが浮かび上がり、また「より良い産業保健対応」という目的の観点からは、事案の本質を明らかにするための専門家コミュニケーションの重要性が浮き彫りとなった。