日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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糖尿病ハタネズミとKKマウスにおける解糖系酵素活性と血漿インスリン値の変動
新井 敏郎望月 真理子大木 与志雄
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1988 年 50 巻 4 号 p. 859-864

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抄録
正常ハタネズミ, KKマウスの肝解糖系酵素(グルコキナーゼ, ピルビン酸キナーゼ)活性は, C57BLマウスのそれのそれぞれ1/4, 1/2であった. 濃厚飼料を給与した糖尿病ハタネズミでは解糖系酵素活性は, 糖尿病初期にはインスリン分泌の増加にともない正常値の2倍を示し, 末期にはインスリン分泌が著しく低下して欠乏状態に陥り, 解糖系酵素活性は正常の1/2以下になった. 尿糖陰性の若齢KKマウスの血漿インスリン値はC57BLマウスの約3倍で, 尿糖陽性の老齢マウスのそれは, さらに高かったが, 肝解糖系酵素活性は, ほぼ正常値と同等であった. 以上の成績から, ハタネズミとKKマウスにおける糖尿病のタイプは著しく異なり, ハタネズミではインスリン依存性, KKマウスではインスリン非依存性と考えられた.
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