日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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ウシ凍結受精卵(胚)の片側子宮角移植による乳用種または乳用交雑種未経産牛における双子生産
鈴木 達行酒井 豊石田 隆志松田 修一三浦 秀夫伊藤 一伸
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1989 年 51 巻 3 号 p. 554-559

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抄録
福島種畜牧場の平地に在る牛舎(群-1),同山地に在る牛舎(群-2)および酪農家の牛舎(群-3)繁養のホルスタイン種またはホルスタイン交雑種未経産牛の129頭について,黒毛和種由来の凍結受精卵(胚)の2個または分離卵(胚)を片側子宮角へ非手術的に移植して双子作出を試みた.その結果97頭(75%)が受精後35~60日に行った直腸検査によって妊娠と診断された.これまでに分娩した86頭中37頭(43%)が双子,49頭(57%)が単子であった.群-1の受胎率63%は群-2および群-3のそれぞれ88%と78%に比べて低かった.群-3での流産と死産率は8%と6%となり,群-1と群-2のそれぞれ12%と16%,18%と24%にくらべて有意に低かった(P<0.05)双子の生時体重は単子に比べて軽量であった(P<0.05)が,生後270~330日後には両者の体重に有意差が認められなかった.双子分娩例での難産は認められなかったが,後産停滞は双子で高く17%,単子で3%であった.また双子の妊娠期間は単子に比べて5日間短かかった(P<0.05).分娩後次の妊娠までに要した期間は双子分娩例で95日,単子分娩例で87日となり,前者で長かった.
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