1989 年 51 巻 4 号 p. 693-701
妊娠14日目に雌雄ラット胎仔に初めて中腎傍管が観察された. 中腎傍管は中腎管のすぐ側に位置しており, 発生の途中においてその尾側端は常に中腎管と融合していた. その後中腎傍管は中腎管から完全に分離独立していた. このことから, 中腎傍管の主体は中腎管から分化するものと考えられた. 妊娠16日目になると, 雄胎仔では雌のそれとは異なり, 中腎傍管の消失, 中腎管の発達, 肝門生殖結節間距離の増加が認められた. 妊娠19日目に胎仔精巣を除去すると, その後の胎仔の雄性化は妨げられた. これらのことから, 胎仔精巣は尿生殖道の雄性化に必要不可欠な器官であることがわかった.