日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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Babesia gibsoni感染貧血犬におけるマクロファージの赤血球貪食能の充進
村瀬 敏之前出 吉光
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1990 年 52 巻 2 号 p. 321-327

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抄録
Babesia gibsoni感染症における貧血発現機序を解明する目的でB. gibsoni, 感染耐過後の脾臓摘出により貧血を再発し, 慢性貧血を持続している犬(慢性感染貧血犬)を用いて, in vitroにおけるマクロファージの赤血球貧食能を検討した. 慢性感染貧血犬の骨髄から得たマクロファージ(骨髄マクロファージ)による自己, および非自己正常赤血球に対する貪食率は, それぞれ9.5(%), および9.9と同程度で非感染摘脾大の3.5, および2.9に比べ亢進していた. 抗原虫薬diminazene diaceturateの投与により, 慢性感染貧血犬の骨髄マクロファージによる赤血球貪食率は低下し, それとともにヘマトクリット値の上昇が認められた. B. gibsoniの急性感染犬においても, 慢性貧血犬と同様に, 骨髄マクロファージによる赤血球貪食能の充進が認められ, この場合も自己および非自己正常赤血球に対する貪食率は同程度であった. 一方, 玉ねぎ投与による溶血性貧血犬においてはマクロファージによる赤血球貪食率の充進は認められなかった. 以上の成績よりB. gibsoni,感染犬では, バベシア原虫によるなんらかの作用でマクロファージが活性化され, その赤血球貪食能が亢進したために低原虫寄生率にもかかわらず高度の貧血が発生するものと推察された.
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