抄録
1985年5月から1987年9月までの期間に北海道内で飼育されていた乳用のホルスタイン雌廃用牛・計393頭の第四胃について寄生虫学的な検査をおこなった. 検査した第四胃のうち, 295頭(75%)から何らかの線虫の寄生が認められた. 検出された線虫は4種で, 寄生状況は Ostertagia ostertagi250頭(63.6%), Mecistocirrus digitatus181頭(46.1%), Trichostrongyls axei85頭(21.6%)とHaemonchus sp..1頭(0.3%)であった. O. ostertagiとM. digitatusについては発育段別の寄生虫体数も検討したところ, 季節的な感染状況の変動が認められた. O. ostertagiでは冬期間には第4期幼虫が高率に検出され, 春から初夏にかけ成虫の割合が高かった. M. digitatusでは第5期の末熟成虫が厳冬期にはほぼ100%を占め, 春先にはほとんどが成虫になっていた. これらの冬期間に認められた発育の停滞した線虫の個体群と夏季での速やかな発育とを合せた結果, 北米やヨーロッパのウシで報告されている[秋季関連性の発育の遅滞]の現象が, 北海道のウシに感染した第四胃寄生虫においても存在することが示唆された.