1991 年 53 巻 5 号 p. 947-949
1990年1月に神奈川県茅ケ崎市の一般家庭において飼育されていたネコにオーエスキー病が発生し, ウイルスの分離を試みたところ頸髄と胸髄から分離された. 本症例では発病経過が6日間に及び, 顕著な掻痒を呈して死亡したが外傷は認められなかった. 病理組織学的検査により脊髄の神経細胞に核内封入体, 虎斑融解が認められ, 囲管性細胞浸潤も顕著であった. この例はわが国において初めての報告であるが, ネコが市街地で飼育されブタとの接触はなく, 飼い主にも豚肉を生で与えるようなことはなく, 感染源について明らかにすることは出来なかった.