Journal of Veterinary Medical Science
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53 巻, 5 号
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  • 田中 雅之, 池田 昌穂, 松葉 隆司, 岡部 達二, 高橋 清志, 小沼 操, 佐々木 文存
    1991 年 53 巻 5 号 p. 775-778
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Theileria sergenti(T.sergenti)メロゾイト表面抗原のインターナルイメージを持つマウス抗イディオタイプ抗体で牛を免疫し, 抗T.sergenti抗体の誘導を試みた. 免疫牛では, 抗・抗イディオタイプ抗体が産生され, この抗体は, 間接蛍光抗体法および酵素抗体法によりT.sergentiメロゾイトに結合した. 今回の試験では, 最も高い抗体価を示した1頭の牛に対し, T.sergenti感染血液の静脈内接種で攻撃したが, 十分な発症防御効果は認められなかった.
  • 鈴木 順, 局 博一, 菅野 茂
    1991 年 53 巻 5 号 p. 779-787
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    代表的な抗不整脈薬, procainamide (PA)(class Ia), lidocaine (LC)(class Ib), propranolol (PN)(class II)およびverapamil (VP)(class IV)を成熟ラットに投与したときの心電図変化の特徴についての検討を行った. 同時に心筋細胞膜電位についても1-5 Hzの刺激頻度で測定を行った. いずれの薬物においても高用量においては洞房ブロックあるいは房室ブロックが見られ, またverapamilを除く3種の薬物ではQRS持続時間の延長とQRS波形状の変化が観察された. これらの薬物の心電図への影響を人やイヌに対するものと比較すると, ラットでの特徴は(1)LCとPNでQT間隔の延長が明瞭に認められ, それは用量依存性であったこと, (2)VP0.6mg/kg以下の投与量でRR間隔の短縮がみられたことであった. LCとPNとも胸部単極誘導心電図では右心室側のQT間隔を延長したこと, および心筋細胞膜電位の実験ではO相の脱分極速度(Vmax)が減少しながら, 活動電位持続時間にこれらの薬物がほとんど影響を及ばさなかったことから, これら2つの薬物のQT間隔延長には右心室側の局所的な電気的興奮時間の遅延が関与しているものと考えられた. 一方, VPによるRR間隔の短縮はPNの前処置により消失したことから, ラットにおけるこの反応は主にVPの末梢血管拡張作用による交感神経反射が関与しているものと考えられた.
  • 小尾 岳士, 宮本 篤, 松元 光春, 石黒 茂, 西尾 晃
    1991 年 53 巻 5 号 p. 789-795
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ウマから摘出した冠状動脈の左下行枝中間部の内皮存在及び内皮除去血管標本を用いてヒスタミンによる収縮・弛緩機序を検討した. ウマ冠状動脈はヒスタミンの用量に応じて収縮を示すものと, 低濃度のヒスタミンで弛緩を示し, 高濃度では収縮を示すものがあった. 内皮を除去すると収縮が増強され, 低濃度のヒスタミンでみられた弛緩は消失した. pD2値は, 内皮存在標本では4.70±0.08であり, 除去標本では4.95±0.08であった. ヒスタミンによる収縮は, 内皮存在および内皮除去標本ともに, H2-アンタゴニストであるシメチジンにより影響を受けなかったが, H1-アンタゴニストであるジフェンヒドラミンにより内皮存在標本は非競合的に, 内皮除去標本では競合的に抑制された. プロスタグランジンFまたはノルエピネフリンで収縮させた状態では, 内皮存在標本はヒスタミンにより弛緩した(pD2値は7.80±0.11)が, 内皮除去標本では弛緩はみられなかった. 内皮存在標本でみられたヒスタミンによる弛緩は, ジフェンヒドラミンにより競合的に抑制された. さらに, この弛緩はメチレンブルー, キナクリン, L-ニトロアルギニン, ゴシポールおよびAA861により有意な抑制を受けた. しかし, インドメサチンは無効であった. これらの成績は, ウマ冠状動脈のヒスタミンによる収縮・弛緩は, それぞれ平滑筋細胞および内皮細胞のH1受容体により調節されており, 内皮細胞のH1受容体刑激は内皮細胞から平滑筋弛緩物質を放出させる可能性のあることを示唆している.
  • 津曲 茂久, 東野 利忠, 高木 香, 大場 茂夫, 佐藤 昌介, 武石 昌敬
    1991 年 53 巻 5 号 p. 797-801
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    妊娠馬10頭を用いて妊娠1から11ヶ月まで, 血漿中estrogen, gestagen, cortisol (F), 13, 14-dihydro, 15-keto-PGF2α(PGFM)および妊馬血清性性腺刺激ホルモン(PMSG)を測定した. estron (E1)とestradiol-17β(E2)は妊娠8ヶ月前後にピークを示し, progesterone (P)は妊娠3と11ヶ月で増加し, 17α-OH-progesterone (17α-OHP)は妊娠3ヶ月に明瞭なピークを形成した. 20α-OH-progesterone (20α-OHP)は妊娠6ヶ月より急激に上昇した. PGFMは妊娠2と11ヶ月にピークを示し, FとPMSGは妊娠2と3ヶ月にそれぞれピークを示した. 因子分析において, 妊娠月齢, E1, E2, 20α-OHPは妊娠進行に伴い増加する変数として第一因子に含まれた. PMSG, 17α-OHP, Pは副黄体に関係する変数として第二因子に, PGFMとFは妊娠2ヶ月における変化により, 第三因子に区分された. Pは第二因子に含まれたが, 第一と第三因子にも影響を受け, PGFMとは対立的な関係性を示した. 結論的には, 第一因子に含まれたE1, E2および20α-OHPは妊娠6ヶ月以降の胎盤機能の指標として有用であることが示唆された.
  • 鎌田 正信, 和田 隆一, 熊埜御堂 毅, 今川 浩, 杉浦 健夫, 福永 昌夫
    1991 年 53 巻 5 号 p. 803-806
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    馬のゲタウイルス感染症の臨床症状の発現に及ぼす接種ウイルス量の影響を明らかにするため, 101.3~106.TCID50のゲタウイルスMI-110株を6頭の実験馬の筋肉内に接種した. 103.3TCID50以上のウイルス量を接種した全ての馬では発熱, 後肢の浮腫, 水様性鼻汁, リンパ球減少症, 並びにウイルス血症が発現された. 一方, 顎下リンパ節の腫脹は105.3及び106.3TCID50のウイルス量を接種した馬でのみ認められ, また, 典型的な発疹は104.3TCID50以下のウイルス量を接種した全ての馬で発現された. この結果, 馬のゲタウイルス感染症の臨床症状の発現は接種ウイルス量に依存することが実証された. また, 発疹と顎下リンパ節の腫脹が一頭の馬で同時に発現することはまれであることが示唆された.
  • 宮澤 清志, 友田 勇
    1991 年 53 巻 5 号 p. 807-810
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    出生前後の子ウシ血清アルカリホスファターゼアイソエンザイムの変化をセルロースアセテート膜電気泳動法により観察した. 胎児血清と出生後22日目の子ウシ血清では, 泳動度0.45と泳動度0.53の位置に1バンドが, その後は2バンド(泳動度0.53および0.31の位置)が観察された. アガロース免疫電気泳動では抗腎アルカリホスファターゼ家兎血清と出生後4.5時間及びそれ以後の子ウシ血清との間に沈降線が観察された. 以上の結果から出生後子ウシ血清中にみられたアイソエンザイムは, 出生後まもなく遊出してくることがわかった.
  • 宇根 智, 田浦 保穂, 中間 實徳, 江島 博康
    1991 年 53 巻 5 号 p. 811-816
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    犬の紫外線(UV)照射全血は, 混合リンパ球反応を抑制する. ドナーUV照射全血を週1回計4回末梢静脈内投与した大群において, 4回輸血後1週間目のドナー末梢血リンパ球(PBL)に対するレシピエントPBLの反応は有意に抑制された. これらの犬群の全頭で赤血球交差試験は陰性であった. UV照射全血輸血群は, 抗ドナーリンパ球抗体, および間接クームス試験によりIgG, IgM, C3の産生を認めなかった. また, UV照射全血輸血後に遅延型過敏反応(DTH)は認めなかった. 皮膚移植における拒絶の抑制も認めた. 一方, 非照射全血輸血群の6頭については, MLRの高値, 赤血球交差試験での凝集反応の陽転, 皮膚移植の急性拒絶反応ならびに3頭で間接クームス試験でC3を認めた.
  • 深瀬 徹, 尹 利根, 茅根 士郎, 秋浜 澄行, 板垣 博
    1991 年 53 巻 5 号 p. 817-821
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    猫に寄生する猫回虫Toxocara catiおよび猫鉤虫Ancylostoma tu baeformeに対するミルベマイシンDの駆虫効果について検討した. 各々の線虫の自然感染を受けている猫12頭ずつを1群6頭の2群に分け, ミルベマイシンDを0.05mg/kgと0.1mg/kgの用量で経口投与した. その結果, 猫回虫感染猫においては2つの試験群の全例で虫卵が陰転し, 糞便中へ2~35隻の虫体の排出が認められた. これらの猫を剖検したところ, いずれの群においても, 各4頭には虫体の残存はみられず, 他の2頭から1隻と2隻の幼若虫体が検出された. 一方, 猫鉤虫感染猫では, 投薬群2群の全例において, 虫卵の陰転と糞便中への2~62隻の虫体の排出が認められ, 剖検時に虫体の残存がみられたものはなかった. 以上の成績から, ミルベマイシンDは猫回虫と猫鉤虫の駆除に有効に用いることができると結論された.
  • 桜井 治久, 藤井 靖大, 牧 与志幸, 小俣 吉孝, 五十嵐 郁男, 斉藤 篤志, 小野 憲一郎, 鈴木 直義
    1991 年 53 巻 5 号 p. 823-831
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    新規の免疫調整物質として合成されたオビオペプチド-1(Obi-1), Gly-Glu-Glu-Glu-Glu-Glu, を腫瘍移植マウス1匹当り30あるいは100μgずつ, 週に1回で3週間, 計3回筋肉内に投与すると, Obi-1非投与マウス腫瘍増殖に比較して有意な増殖抑制効果が観察された. Obi-1投与腫瘍移植マウスの脾臓内大小単核細胞数の集族はObi-1非投与腫瘍移植マウスに比較して極めて顕著であり, 特に散在性に多数の円形大形単核細胞(単球-マクロファージ)の出現が観察された. 健康マウス腹腔内単核付着細胞を0bi-1添加培養すると活性酸素中間体(O-2)の産生が増加した. 一方, Obi-1投与および非投与マウス脾臓細胞の細胞障害活性を各種腫瘍細胞(MC, Meth-A, P-8l5, YAC-1)を用いて検討したところ, Obi-1投与マウス脾臓細胞は軽度ではあるが10%程度の細胞障害活性を示した. 以上の結果から, 合成オビオペプチド-1は腫瘍増殖抑制に対して生体へ軽度な免疫賦活作用を有すると考えた.
  • 山本 欣郎, 北村 延夫, 山田 純三, 山下 忠幸
    1991 年 53 巻 5 号 p. 833-838
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ヒツジ第三胃葉の毛細血管構築を樹脂鋳型-走査型電子顕微鏡法によって観察した. 第三胃葉には, 発達した上皮下毛細血管網が認められ, 毛細血管ループと第三胃乳頭間に毛細血管床の起伏を備えていた. 毛細血管ループは乳頭間よりも乳頭内で, 第三・四胃口側よりも第二・三胃口側で発達しており, 中央部の乳頭間および第三・四胃口側には認められなかった. 一方, 乳頭間の起伏は第二・三胃口側よりも第三・四胃口側で発達していた. これらの部位差は第三胃粘膜の機能に部位差がある可能性を示している.
  • 東 正美, 金井 克晃, 小倉 淳郎, 九郎丸 正道, 林 良博
    1991 年 53 巻 5 号 p. 839-845
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    マウス胎盤外円錐(EPC)の伸展および巨細胞化における胎盤中の液性因子の関与について, 培養系を用いて検討した. 7.5day post coitum(pc)のC57BL/6マウス妊娠子宮よりEPCを分離し, 24時間α-MEM+10%FCSにて前培養後, α-MEM+10%FCS, α-MEMのみ, またはマウス胎盤(8.5, 10.5, 並びに12.5day pc)可溶性粗分画10%添加α-MEMに培地交換した. その後6日間培養し, 位相差顕微鏡を用いてコロニーの直径および巨細胞数を経時的に測定した. その結果, 胎盤抽出分画添加群はα-MEM対照群と比較して, EPCの伸展および巨細胞化が有意に助長され, EPCの伸展率は培地交換2日後に急速に増大した. 特に10.5day pc胎盤抽出分画添加群において, EPCの伸展および巨細胞数の増加がともに最も顕著であった. 以上の結果より, 胎盤抽出分画中に栄養膜巨細胞の分化に促進的作用を示す液性因子の存在が示唆された. さらにこの促進因子は, 10.5day pc胎盤中に多量に存在するものであると考えられた.
  • 二井 愛介, 篠原 公策, 後藤 直彰
    1991 年 53 巻 5 号 p. 847-854
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ジエチルニトロサミンによるイニシエートと, アセチルアミノフルオレン投与および肝部分切除を組み合わせたSolt-Farberの方法により作出した, F344雄ラット肝の前癌病変におけるTyzzer菌の増殖を免疫組織学的に観察した. Tyzzer菌による肝壊死病巣は, 胎盤型glutathione S-transferase (GST-P)陰性領域に加え, 陽性領域(altered fociおよびneoplastic nodules)においても多数観察され, GST-P陽性肝細胞内に明らかな菌の増殖像が認められた. また長期間維持した動物では, これらの前癌病変に加えて肝細胞癌が認められ, そこでも菌増殖が観察された. 一方, 血漿中GOT, GPT値をTyzzer病変の重篤度の指標として測定すると, 菌を接種しない群の比較では, 担前癌状態の動物は前癌病変を持たない動物と較べてGOT, GPTともに高い値を示したが, 菌を接種した群の比較では担前癌状態の動物の方が両者とも低い値を示した. また, 肝単位面積当りの壊死巣の数は, 担前癌状態の動物の方が前癌病変を持たない動物に較べて少なかった. これらの成績から, Tyzzer菌は前癌状態にある肝細胞において増殖可能であるが, そこでの増殖環境は正常肝細胞と較べると適していないことが示唆された.
  • 鎌田 正信, 熊埜御堂 毅, 和田 隆一, 福永 昌夫, 今川 浩, 杉浦 健夫
    1991 年 53 巻 5 号 p. 855-858
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    馬におけるゲタウイルスの空気伝播を調べるため, 7頭の実験馬に103.0~107.0TCID50のゲタウイルスMI-110株を鼻腔内接種した. 全ての実験馬で中和抗体が産生され, ウイルス感染が確認された. 104.0l;TCID50以上のウイルス接種馬では, 発熱, 発疹, 水様性鼻汁, リンパ球減少症, 単球増多症が認められた. 105.0l;TCID50以上のウイルス接種馬では, 105.0l;TCID50/0.2ml以下のウイルス血症が認められた. 107.0l;TCID50のウイルス接種馬では, 鼻腔スワブから103.0l;TCID50/ml以下のウイルスが分離された. これらの結果から, 大量のウイルスによる鼻腔内感染がない限り野外感染馬の鼻腔内からのウイルス排他量は非常に少ないことが想定され, ゲタウイルスによる馬から馬への空気伝播は野外ではまれと考えられた.
  • 塚本 健司, 長谷部 誠, 垣田 慎一郎, 日原 宏, 甲野 雄次
    1991 年 53 巻 5 号 p. 859-864
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    白色レグホーン種の原種について, トリ白血病ウイルス(ALV)を垂直伝播する母鶏(伝播鶏)の摘発と分析を, ELISAによる抗体, 抗原及びALVの各検査法を用いて検討した. ALVの感染状態により母鶏を, 血清中に抗体及びALVを保有しない鶏[抗体(-)ウイルス(-)鶏群, 49羽], 抗体を保有する鶏(抗体保有鶏群, 21羽), ウイルス血症の鶏(ウイルス血症鶏群, 2羽)の3群に分類し, 各群の母鶏について, 卵白へのウイルス及び抗原の排池及び鶏胚の感染を調べた. その結果, 抗体(-)ウイルス(-)鶏群では, 新鮮卵白からウイルス及び抗原は検出されず, 感染胚も認められなかった. 一方, 抗体保有鶏群の内3羽及びウイルス血症鶏群の2羽では, その新鮮卵白全てからALVが検出され, 感染胚が確認された. しかし, 新鮮卵白からALVが検出されなかったにも拘らず感染胚を産出した抗体保有鶏が1羽認められた. 以上の成績より, 伝播鶏の摘発には, 新鮮卵白からのウイルス検出法がある程度有効と考えられた. また, これら6羽の伝播鶏について, ウイルスの体内分布を調べたところ, 卵管膨大部のウイルス量が最も多かったことから, この部位で産生されたウイルスが胚感染に関与することが示唆された.
  • 中村 悟, 外山 朋子, 早坂 駿哉, 亀山 康彦, 丸山 総一, 勝部 泰次
    1991 年 53 巻 5 号 p. 865-872
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Toxocara canisの感染幼虫包蔵卵1,500個, 4,000個, 15,000個, を日本ウズラに経口投与し, 諸臓器における幼虫の寄生状況ならびに病変について検討したところ, 肝臓で7~3,346隻, 筋肉(胸部・脚部)で1~288隻, その他心臓, 筋胃, 脳, 眼球からも少数の幼虫が検出された. 4,000個, 15,000個投与群では, 投与後12時間目より肝臓表面および割面に白斑が出現し, 組織学的には, 投与後6時間目より肝臓組織の壊死巣および軽度の白血球の浸潤が観察された. 投与後3日目では肉芽腫様病変, 30日目では結節性細胞集簇が形成された. 病変の程度は, 時間の経過, ならびに投与虫卵数の増加にともなって顕著となる傾向にあった.
  • 飯田 孝, 神崎 政子, 大山 務, 井上 智, 金内 長司
    1991 年 53 巻 5 号 p. 873-875
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    わが国の動物におけるListeria属菌の保有実態を把握するため, ウシ, ブタ, ニワトリ, イヌ, ネコ, およびネズミのふん便または腸内容物計1,705検体を対象に調査を行った. 菌の分離はPBSを用いて4℃で4~6週間増菌後に選択分離培地にOxford寒天培地を用いて行った. L.monocutogenesはウシで1.9%, ブタで0.6%, イヌで0.9%, ネズミでは6.5%の陽性率であった. しかし, ニワトリとネコからは分離されなかった. その他のListeria属菌ではL.innocuaが大部分を占めた. 分離されたL.monocytogenesの血清型は6種以上に分類され, 最も多かったのは1/2cであったが, ヒト症例からよく検出される1/2a, 1/2b, 4bの3菌型を合計すると全体の50%を占めていた.
  • 石野 清之, 門田 耕一, 松原 豊, 阿川 啓雄, 松井 望
    1991 年 53 巻 5 号 p. 877-882
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    胎齢70日から270日の牛胎児のリンパ組織を免疫組織化学的に検討した. 末梢血液では70日で表在免疫グロブリン陽性細胞と羊赤血球ロゼット陽性細胞が出現した. リンパ節と牌臓では細胞質内IgM, IgGおよびIgA陽性細胞がそれぞれ90日, 150日, 180日以後に見られた. 回盲部ではIgM陽性細胞とIgG陽性細胞が180日以後に, IgA陽性細胞が210日以後に, 扁桃ではIgM陽性細胞とIgG陽性細胞が240日以後に存在した. ターミナルデオキシヌクレオタイディルトランスフェラーゼ陽性細胞は90日以後の胸腺に出現した.
  • 熊澤 教眞, 下地 善弘
    1991 年 53 巻 5 号 p. 883-887
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    成熟イシマキガイの血液細胞には腸炎ビブリオと大腸菌の生菌に対する走化性があり, これは成熟イシマキガイの血漿により促進された. 幼若イシマキガイの血液細胞は幼若イシマキガイの血漿の存在下で腸炎ビブリオと大腸菌の生菌に対して走化性を示したが, 幼若イシマキガイの血漿が存在しない時は大腸菌にのみ走化性を示した. 幼若イシマキガイの血液細胞は単独で腸炎ビブリオを認識する能力が未発達であり, この能力は血漿の添加により発現すると考えられる.
  • 森田 千春, 松浦 善治, 藤井 弘毅, 城 敬一郎, 馬場 一廣, 加藤 正義, 久田 元夫
    1991 年 53 巻 5 号 p. 889-892
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1990年4月に大阪港の2箇所の埠頭について調査を行い35匹のハツカネズミを捕獲した. このハツカネズミ35匹中18匹が抗体を保有していた. これら35匹のハツカネズミの脾臓乳剤を3~4週齢のマウスに脳内接種し, 発症の認められたものから脳材料および血清を採取し, その脳乳剤をVero-E 6細胞に接種した. 生残したマウスについてはその抗体を測定した. 35例中14例よりWE株に対する抗血清と反応するウイルスが分離された. これらのうち代表的な3株の抗原を作成し, マウスの発症期血清, 回復期血清について抗体価をWE株に対するそれと比較したが差は認められなかった. また初代において死亡を認めなかった7株をマウスに継代し, その生残マウスにつきWE株を用いて攻撃したが何れも耐過した. この結果これら分離ウイルスはLCMVと同定した. 抗体陽性ハツカネズミ18匹中4例, 抗体陰性17匹中10例からそれぞれウイルスが分離された. 抗体陽性ネズミでウイルスの分離されたものは総て4ヶ月齢未満のものであったのに対し, 抗体陰性ネズミでは何れの月齢からもウイルスが分離された. また分離ウイルス株の中にはマウス継代してもマウスを殺さない株が存在した. この様な株は従来組織培養継代により認められているが自然界からの分離は報告されていない. 本論文はわが国で初めての野生動物からのLCMVの分離報告である.
  • 九郎丸 正道, 金井 克晃, 林 良博
    1991 年 53 巻 5 号 p. 893-897
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    性成熟に達した雄シバヤギ精巣の精細胞における各種レクチンの結合性を光顕および電顕により検討した. Dolichos biflorus agglutinin(DBA)およびGriffonia simplicifolia agglutinin-I(GS-I)は精上皮に全く反応性を示さなかったが, soybean(Glycine max) agglutinin(SBA), Griffonia simplicifolia agglutinin-II(GS-II)およびpeanut(Arachis hypogaea) agglutinin(PNA)はいずれも精細胞に反応した. SBA反応は精子細胞の尖体部のみに認められたのに対し, GS-II反応は尖体部のほか, 尖体期お上び成熟期の精子細胞の核後方部ならびに遺残細胞質中にも認められた. また, PNAは精子細胞の尖体部のほか, パキテン後期の精母細胞から成熟期の精子細胞までの細胞質および細胞膜に反応したことから, この時期の精細胞内にD-ガラクトースを含む糖鎖構造の出現が示唆された. したがって, PNAは分化中の精細胞の有用なマーカーとなる可能性が考えられた.
  • 駒沢 敏, 伊木 治子, 大村 美麻, 筒井 茂樹, 藤原 公策
    1991 年 53 巻 5 号 p. 899-904
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    スナネズミとマウスの間では, 腸Peyer板(PP)の分布と微細形態学に差異がみとめられた. スナネズミのPPは十二指腸から回腸にわたってほぼ平等に分布していたが, マウスでは回腸下部でより密な分布がみられた. スナネズミのPP総数は少ないが各PPのリンパ濾胞数はマウスのそれよりかなり多く, 濾胞総数はマウスより多かった. 電顕観察では, スナネズミのPPドームを被う上皮細胞には, 微絨毛の短いものと長いものの2種類が存在したが, マウスでは中間的な長さの微絨毛を有する上皮細胞で均一に被われていた. スナネズミのドーム吸収上皮細胞の一部は, マウスにおける低分化陰窩細胞に類似の形態を示し, 未熟なM細胞である可能性が示唆された.
  • 片本 宏, 米田 直樹, 島田 保昭
    1991 年 53 巻 5 号 p. 905-910
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    イソプロチオラン250 mg/kgまたはファイトステロール50 mg/kgをラットに2週間毎日経口投与した. ラットの脂肪細胞におけるインスリン無添加での[U-14C]グルコースの脂質への取り込みは, イソプロチオランまたはファイトステロールの投与によって有意に減少した(それぞれ対照の54%および82%). 脂肪分解によって遊離したグリセロール量は, エピネフリン10μM存在下の時のみイソプロチオランを投与したラットの脂肪細胞で対照より減少した. 血清総コレステロール量はファイトステロールの投与によって減少した. また血清遊離脂肪酸(NEFA)量はイソプロチオランの投与によって増加した. それぞれの薬剤を投与したラットの肝臓, 血清および脂肪組織で, リン脂質またはコレステロールエステルの脂肪酸組成における不飽和化が認められた. これらの結果から両薬剤は脂肪細胞への脂質の蓄積を抑制し, 組織脂質における脂肪酸の不飽和化を促進する共通の作用を有することが示唆された.
  • 鈴木 實, 七條 喜一郎, 竹内 崇, 斎藤 俊之
    1991 年 53 巻 5 号 p. 911-915
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    実験には, 雄の成熟モルモット(体重350~750g) 5匹を使用し, 視覚誘発電位(VEP)測定を行った. VEPは慢性埋め込み電極を使用して記録し, 光刺激は両眼, 左眼, 右眼, 両眼遮蔽の順に行った. この反応波を140回加算平均してVEP波形を求めた. その結果, 片眼刺激において, 刺激した眼と同側の大脳半球から導出されたVEPは反対側から導出されたVEPとは著しく異なった. すなわち, ピークN140とP200は消失し, また, ピークN75とP100のピーク潜時は, 両眼刺激に比べて延長し, ピーク間振幅N40-P55は減少し, 左右の半球間で有意差が認められた. 一方, 刺激した眼と対側の半球から導出されたVEP波形は, 両眼刺激によって得られたVEPに類似していた. このように硬膜上からの導出では, 片眼刺激によるVEPは刺激側と反対側との間に, 明らかな差異が認められた.
  • 高木 昌美, 大前 憲一, 平山 紀夫, 太田 修一
    1991 年 53 巻 5 号 p. 917-920
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Haemophilus paragallinarum A型菌のクロモゾームDNAを, ベクタープラスミドpBR322に組み込み, レコンビナントプラスミドを作成した. プラスミドをE coliC 600株に形質転換により移入したところ, 合計277株のトランスフォーマントが作出され, このうち1株(no.6)が鶏赤血球に対して凝集性を示した. no.6株は, レコンビナントプラスミドのpNV102を含み, このプラスミドには約2.57kbの遺伝子群が挿入されていた. no.6株は, pNV102を脱落させたところ, HA性が消失した. この脱落株に再びpNV102を移入するとHA性の復帰が認められた. HpgA型菌のHA抗原を認識するモノクローナル抗体を用いたdot-blottingを行ったところ, no.6株は, Hpgと同様に反応した. また, no.6株を鶏に免疫したところ, HI抗体の産生が認められ, 抗体を保有する鶏はHpgの攻撃に対して感染防御を示した.
  • 岡田 洋之, 斎藤 恵理, 松川 清
    1991 年 53 巻 5 号 p. 921-927
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ビタミンD3 200万単位を10日間, 20日間および30日間筋肉内注射したヒッジの甲状腺C細胞を超微形態的に観察した. ビタミンD3投与後, C細胞は主に濾胞上皮細胞間で肥大増生しているのが認められた. 肥大した多くのC細胞は著しく脱顆粒し, 発達したゴルジ装置周囲に前分泌顆粒が多数認められ, 分泌サイクルの分泌・梱包期にあった. その他のC細胞では細胞質内に層板状に著しく発達した粗面小胞体と多数のリボゾームが認められ, これらの細胞は合成期のものと思われた. さらに肥大したC細胞の間に変性した細胞内小器官を容れる萎縮細胞がしばしば見られた. 今回の超微形態的観察から, ヒツジではビタミンD3の大量投与により誘発された高カルシウム血症に対してC細胞は持続的にカルシトニンを合成分泌していることが判明した.
  • 横山 栄二, 勝部 泰次, 大山 総一, 田村 和満
    1991 年 53 巻 5 号 p. 929-930
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    抑留犬におけるサルモネラ同居感染発生の可能性を知る目的で, 抑留第2日目と第5日目のサルモネラ保菌率を調査した. 抑留第5日目においてサルモネラ, とくにS.Typhimuriumの検出率が第2日目に比べて有意に増加した. また, S.Typhimuriumが検出された場合, 抑留第5日目の菌量が第2日目に比べて有意に増加した. このことから, 抑留中にS.Typhimuriumによる同居感染が発生していることが示唆された.
  • 小川 寛大, 立山 晉, 野坂 大
    1991 年 53 巻 5 号 p. 931-932
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    肛門左側皮下より摘出された腫瘍はアポクリン腺様分泌を示す細胞が乳頭状に増殖し, 腫瘍細胞はコンカナバリンAパラドックス染色に陽性を示した. 一方, 正常肛門旁洞腺及び汗腺を同条件で染色したところ前者は陽性, 後者は陰性を示した. 以上のことより同染色は, 肛門旁洞腺の腺癌の診断に有用であると思われる.
  • 平野 愛弓, 桐沢 力雄, 松葉 隆司, 小松 玲子, 田中 雅之, 高橋 清志, 川上 善三, 小沼 操
    1991 年 53 巻 5 号 p. 933-935
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    感度よく赤内型T.sergentiを検出するDNAプローブの作出をこころみた. T.sergenti DNAに特異的な8個のプローブのうちT.sergenti DNA内にくり返し配列がもっとも多く, かつ各プローブ間でもっとも交差反応性の高いpTs11を選別した. このpTs11をさらにDraIで小断片化して得た2kbpのpTs11-D1はもっとも感度が高く2pg のT.sergenti DNAまで検出しえた. 寄生率2~0.004%の血液を調整し, pTs11-D1をプローブとして原虫DNAの検出をこころみたところ, 寄生率0.008%の血液10μlからも検出可能であった.
  • 菅原 由憲, 板垣 慎一, 土井 邦雄
    1991 年 53 巻 5 号 p. 937-939
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    105 PFU/headの脳心筋炎ウイルスD株を一回腹腔内接種したAPA系シリアンハムスターの雄で, ウイルス接種8週間後に高率(約80%)に膵臓内肝細胞の誘導が認められた. 不実験系は既存の系に比べて, 簡便かつ短期間に高頻度に膵臓内肝細胞を誘導できるため, 当該細胞研究のモデルとしてきわめて有効と考えられる.
  • 林 正信, 水谷 哲也, 桑原 幹典, 佐藤 文昭, 波岡 茂郎
    1991 年 53 巻 5 号 p. 941-943
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    プラスミドpSV2-neoを直鎖状にしてX線で照射し, マウスDBT細胞に導入した場合, その形質転換効率は非照射時に比べ2倍以上増加した. 閉鎖環状のプラスミドを照射した場合, 形質転換効率の上昇は認められなかった. サザンブロット解析により導入プラスミドは宿主細胞DNAに組み込まれている事が示された. 本実験系は電離放射線の照射によって損傷を受けたDNAが宿主細胞中の修復系をどの様に活性化するかを検討する上で有用と考えられる.
  • 井上 誠, 山本 春弥
    1991 年 53 巻 5 号 p. 945-946
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    若齢イノシシの1例に自然発生した肝臓静脈閉塞症を病理学的に検索した. 肝臓の著明な組織病変は中心静脈にみられ, 紡錘形細胞の増殖と線維性結合組織の増加による内膜の肥厚と内腔の狭窄を示した. 電顕的には, 中心静脈内皮下に紡錘形細胞の増殖とこれらの細胞間における膠原原線維の増加が認められた. 紡錘形細胞は細胞質に豊富な微細線維を持ち, 細胞表面を取り囲んでは基底膜があり, 平滑筋細胞としての特徴を示した.
  • 原 元宣, 清水 武彦, 根本 晴一, 福山 正文, 池田 輝男, 木内 明男, 田淵 清, 野村 靖夫, 代田 欣二, 宇根 ユミ, 石崎 ...
    1991 年 53 巻 5 号 p. 947-949
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1990年1月に神奈川県茅ケ崎市の一般家庭において飼育されていたネコにオーエスキー病が発生し, ウイルスの分離を試みたところ頸髄と胸髄から分離された. 本症例では発病経過が6日間に及び, 顕著な掻痒を呈して死亡したが外傷は認められなかった. 病理組織学的検査により脊髄の神経細胞に核内封入体, 虎斑融解が認められ, 囲管性細胞浸潤も顕著であった. この例はわが国において初めての報告であるが, ネコが市街地で飼育されブタとの接触はなく, 飼い主にも豚肉を生で与えるようなことはなく, 感染源について明らかにすることは出来なかった.
  • 砂川 紘之, 井上 勝弘
    1991 年 53 巻 5 号 p. 951-954
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    わが国で発生した水鳥およびミンクのボツリヌス中毒, 水鳥生息地域の土壌から分離されたボツリヌスC型菌8株およびD型菌1株について, これらの菌株が保有する溶原ファージの分離を試みた. その結果, D型菌1株から従来報告されている毒素変換ファージと宿主域および抗原性の異なる新しい毒素変換ファージが分離された. また, D型菌1株およびC型菌2株からCおよびD型菌に共通に存在すると考えられる毒素非変換ファージが分離された.
  • 熊澤 教眞, 道野 徹子, 高田 薫, 森原 秀雄, 近藤 典男, 川崎 康広, 谷川 孝彦
    1991 年 53 巻 5 号 p. 955-956
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    イシマキガイとアマガイの軟体部乳剤からリン酸イオンの存在下で3%NaCl加BTB寒天培地上における腸炎ビブリオの増殖を阻止する活性が検出された. この抗腸炎ビブリオ活性はサザエ, クロアワビ, テングニン, マダコ, ミズダコ, シマメイカでは低レベル, アマオブネ, マガキ, アカガイ, ミミイカ,ホタルイカでは検出限界以下であった. この活性は易熱性で酸とアルカリに耐性であった.
  • 松田 あさみ, 岡田 伸隆, 片山 茂二, 岡部 達二, 佐々木 文存
    1991 年 53 巻 5 号 p. 957-958
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    オーエスキー病ウイルス(PRV)のgIII糖蛋白の宿主細胞への吸着性について, 精製gIII抗原で前処理されたRK-13細胞へのPRVの吸着の阻止効果として検討した. その結果, 精製gIII抗原の前処理細胞へのPRVの吸着は, 未処理細胞あるいは精製gII抗原前処理細胞と比較して明らかに阻止された. このことから, PRVのgIII糖蛋白はPRVの宿主細胞への吸着に関与していることが確認された.
  • 杉井 俊二, 廣田 好和
    1991 年 53 巻 5 号 p. 959-961
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ウシ肝臓アセトン粉末抽出物から, 種々のアフイニテイ・クロマトグラフイーおよびゲル濾過法の利用により, N-アセチルガラクトサミン/ガラクトース残基と反応するレクチンを分離・精製した. 精製したウシ肝臓レクチンは分子量65,000のサブユニットから構成され, カルシウムイオン依存性にノイラミニダーゼ処理赤血球に対して強い凝集活性を示し, その凝集活性はN-アセチルガラクトサミン/ガラクトースにより特異的に阻止されることが判った.
  • 牧村 進, 金城 秀敏
    1991 年 53 巻 5 号 p. 963-965
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Hepatozoon canisのガメトサイト寄生イヌ末梢血白血球を細胞化学的に同定するためα-naphthyl acetate esterase染色およびnaphtol AS-D chloroacetate esterase染色を行った結果, これらの細胞はいずれの酵素反応においても好中球でなく単球に特異的な染色性を示した. さらに, H.canis感染犬の末梢血白血球の10日間の培養後もなおガメトサイト寄生白血球が認められ, 本原虫寄生白血球は単球性であることが示唆された.
  • 中内 潔
    1991 年 53 巻 5 号 p. 967-968
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    6ヶ月および2から4才齢の雌雄の豚について大腸バランチジウムの感染状況を調査した. その結果, 大腸バランチジウムは252頭中84.1%から検出され, 平均寄生虫体数は糞便1g中517.1であり, 宿主の性および年齢による差は認められなかった. 以上のことから, 大多数の豚は性別に関係なく, 少なくとも生後6ヶ月以前に, 大腸バランチジウムに感染していることが示唆された.
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