Journal of Veterinary Medical Science
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犬の中枢神経系における加齢性アストログリオージスの免疫組織化学的ならびに電顕的研究
島田 章則桑村 充粟倉 毅梅村 孝司板倉 智敏
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1992 年 54 巻 1 号 p. 29-36

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抄録

11-18才齢の高齢犬17例および2-12カ月齢の若齢犬8例の中枢神経系に対し, 抗グリア線維性酸性蛋白(Glial fibrillary acidic protein, GFAP)抗体を用いた免疫組織学的検索ならびに電顕的検索を実施した. すべての高齢犬に, GFAP陽性アストログリアから成る中等度から重度の瀰慢性アストログリオージスが認められ, それは一定の分布パターンを示した. すなわち, アストログリオージスは大脳皮質下および深部白質, 大脳皮質髄質境界域, 皮質下諸核, 小脳中心核, 脳幹諸核および脊髄灰白質で最も重度であった. 大脳皮質全域および視床諸核においても重度のアストログリオージスが見られた. 小脳および脊髄の白質, 海馬においては中等度のアストログリオージスが見られた. 一方, 若齢犬ではGFAP陽性アストログリアはわずかに見られたにすぎなかった. 電顕観察によって, 多量のグリアフィラメントを含む活性型アストロサイトが高齢犬の大脳皮質に多数存在し, その突起の付近に神経突起や軸索終末の様々な変性像が認められた.

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