Journal of Veterinary Medical Science
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54 巻, 1 号
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  • 坪田 敏男, 金川 弘司, 山本 聖子, 間野 勉, 山中 正実, 喜多 功, 千葉 敏郎
    1992 年 54 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    飼育下8頭および野生7頭の雌エゾヒグマについて, プロジェステロン(P)測定用エンザイムイムノアッセイ(EIA)キット(「オブチェック」ケンブリッジ・ライフ・サイエンス社)を用いて血清中P値を測定し, その有効性を検討した. 本キットによる2検体の測定内および測定間変動係数は, それぞれ8.9%, 12.6%および16.6%, 22.7%と比較的良好な成績であった. ラジオイムノアッセイ法との相関関係については, 64サンプルで相関係数r=0.725と高い相関が認められた(p<0.01). 飼育エゾヒグマでは, 妊娠個体5頭, 非妊娠単独個体2頭および非妊娠子連れ個体1頭についてP値が調べられた. 妊娠個体のP値は, 交尾期(5~6月)後の小さな上昇, 9~10月にかけての2回目の上昇, さらに11~12月にかけての大きな上昇として観察された. この最後の大きなP値上昇は, 着床に伴う変化と推測される. 非妊娠単独個体のP値変化は, 妊娠個体のP値変化と類似した. 非妊娠子連れ個体のP値は, 6~12月まで5 ng/ml以下の値を持続した. 野生エゾヒグマ7頭中2頭は, 1 ng/ml以上の値を示し, そのうちの1頭では出産が確認された. 他の5頭はいずれも1 ng/ml以下の低値であり, 非妊娠個体と考えられた. エゾヒグマでのP-EIAキットによるP値の測定は有効であると結論づけられた.
  • 宮原 和郎, 本多 字里子, 戸瀬 信一, 櫻井 治久, 五十嵐 郁男, 齋藤 篤志, 広瀬 恒夫, 鈴木 直義
    1992 年 54 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    マウスにおける20-Methylcholanthrene (MC)誘発腫瘍の第2代継代細胞を用いてトキソプラズマ溶解抗原(TLA)の治療効果について検討した. 腫瘍移植後7日目にTLAを筋肉内投与すると14日目には腫瘍増殖の抑制が認められ, TLA再投与によりその効果は増強された. また, 担癌マウスにTLA感作マウス脾臓細胞を静脈内移入しても腫瘍増殖抑制効果が認められ, この効果はTLA感作5日目の脾臓細胞を移入された群で明瞭であった. さらに, この効果はTLA感作マウス脾臓内付着性細胞あるいは非付着性細胞のいずれか一方のみを移入した群では認められず, 両方の細胞を同時に移入した群で最も明瞭に観察された. 同様に in vitroにおいて, TLA感作マウス脾臓細胞をTLA添加培養すると, P-815およびYAC- 1細胞に対する細胞障害性が認められた. TLA感作マウスの脾臓内付着性細胞と非付着性細胞を共に培養することによってのみ, 細胞内顆粒に富んだ大型の非付着性細胞が誘導された. 以上のことから, TLAは脾臓内付着性および非付着性細胞を活性化することによって, 化学発癌による可移植性腫瘍の増殖を抑制し得ることが明らかとなった.
  • 八木 行維, 神尾 次彦, 藤崎 幸蔵, 清水 真也, 長澤 成吉, 寺田 裕
    1992 年 54 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Theileria sergenti 感染牛で貧血に付随して血漿脂質組成に変化が認められた. コレステロール, 遊離コレステロール, リン脂質, 高比重リポ蛋白コレステロール, およびビタミンEの各血漿濃度は感染にともなうPCV値の減少に一致して減少し, 感染前の値の40-67%低下した. しかし血漿トリグリセライド値には顕著な変化はなかった. 密度勾配遠沈の結果, トリグリセライドを除くこれらの脂質成分は同一のリポ蛋白, 即ち高比重リポ蛋白に含まれること, またこの高比重リポ蛋白の減少がこれら脂質の減少の原因であることが確認された. 高比重リポ蛋白の減少と肝機能の間には関係がなかった. 脂質成分の同様の変化が〓血牛においても認められたことから, この現象がT.sergenti感染による貧血への反応として, 造血機能が亢進したことに関係があるものと考えられた.
  • 中尾 敏彦, 佐藤 清和, 中村 敏男, 田口 和史, 森好 政晴, 河田 啓一郎
    1992 年 54 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    子宮平滑筋弛緩作用のある交感神経β2-受容体刺激剤塩酸クレンブテロールの投与による牛の夜間分娩回避効果を検討した. 分娩の第一期にあり, 夜間に分娩する可能性が高いと判定されたホルスタイン種乳牛68頭のうち, 42頭について18:00と22:00に塩酸クレンブテロールの300μgと210μgをそれぞれ筋肉内注射し, 他の26頭は無処置対照とした. 塩酸クレンブテロール投与例では, 翌朝3:30に分娩した1例を除くと, 全例が翌朝5:00以降に分娩し, 5:00から10:00の間に集中する傾向があった. これに対して, 対照例では22:00から5:00までの夜間に分娩例が多く, 42%を占めた. このことから, 塩酸クレンブテロールの2回投与は夜間分娩の回避に有効であることが確認できた. また, 処置例では, 難産や胎盤停滞の発生率は減少し, その後繁殖成績も向上する傾向が認められ, 新生子牛の活力や生存性および母牛の健康状態や乳量などに悪影響は認められなかった.
  • 高瀬 公三, 内村 哲也, 山元 通孝
    1992 年 54 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    トリレオウイルスを鶏のFootpadに接種するとウイルスは接種部位で良く増殖し, 肉眼病変(腫脹)が観察された. 幾つかの条件下でウイルスを接種し, Footpadの肉眼病変を二つの方法, すなわち, 0~4の5段階肉眼スコアで評価する方法と, 接種側Footpadと非接種側Footpadの厚さを測定し両者の比を求めて評価する方法で, 14日間経時的に観察した. 両方法とも同様な成績で推移した. 病変はウイルスを接種した9~310日齢の全ての鶏に出現したが, 高日齢では軽度であった. また病変の鶏の雌雄で差を認めなかった. 接種ウイルス量が少なくなると, 出現時期は遅くなったが, 病変のピーク時の程度はほとんど変わらなかった. しかし, 病変はウイルス株によって明らかに異なり, ウイルスの病原性を反映しているものと考えられた. このようにFootpad肉眼病変の観察は, トリレオウイルスの研究において有用な手段と思われる.
  • 島田 章則, 桑村 充, 粟倉 毅, 梅村 孝司, 板倉 智敏
    1992 年 54 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    11-18才齢の高齢犬17例および2-12カ月齢の若齢犬8例の中枢神経系に対し, 抗グリア線維性酸性蛋白(Glial fibrillary acidic protein, GFAP)抗体を用いた免疫組織学的検索ならびに電顕的検索を実施した. すべての高齢犬に, GFAP陽性アストログリアから成る中等度から重度の瀰慢性アストログリオージスが認められ, それは一定の分布パターンを示した. すなわち, アストログリオージスは大脳皮質下および深部白質, 大脳皮質髄質境界域, 皮質下諸核, 小脳中心核, 脳幹諸核および脊髄灰白質で最も重度であった. 大脳皮質全域および視床諸核においても重度のアストログリオージスが見られた. 小脳および脊髄の白質, 海馬においては中等度のアストログリオージスが見られた. 一方, 若齢犬ではGFAP陽性アストログリアはわずかに見られたにすぎなかった. 電顕観察によって, 多量のグリアフィラメントを含む活性型アストロサイトが高齢犬の大脳皮質に多数存在し, その突起の付近に神経突起や軸索終末の様々な変性像が認められた.
  • 扇谷 年昭, 内田 税, 岡部 達二, 佐々木 文存
    1992 年 54 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Bordetella bronchiseptica I相菌培養上清より調製した, 強い赤血球凝集(HA)活性を有するcell free antigen (CFA)をオイルアジュバントと乳化し, 試作ワクチン(CFAV)を作製した. CFAVで免疫された母マウスおよび非免疫のマウスより生まれた2~3日齢の子マウスを強毒菌で胸腔内攻撃したところ, 免疫群産子の防御指数(常用対数で表わした免疫群と対照群のLD50の差)は3.0以上を示し, 母子免疫の系で, 強い防御効果を確認した. また, 同じく生後2~3日で強毒菌による鼻腔内攻撃を行なったところ, 攻撃後6週目の剖検により対照群では供試した産子の8割以上に明瞭な鼻甲介萎縮を認めたのに対し, 免疫群の産子では9割の産子が陰性であった. また鼻腔からの回収菌数にも明らかな差を認め, 動物のB.bronchiseptica感染症の予防にCFAVが有効であることを確認した.
  • I. C. Pan
    1992 年 54 巻 1 号 p. 43-52
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    アフリカ豚コレラ(ASF)強毒ウイルスTengani株をVero細胞に馴化してから, そのまま継代培養した場合と, クローニングしてから更に高継代した場合の両方共, 病原性, 免疫原性, 及び感染性の異ったSubpopulationを含むウイルスが容易に産生された. 第27代継代ウイルスの99%以上は接種豚体内で増殖の出来ない非病原性ウイルスであって, 明らかに自然界に存在しない実験室に於ける人工産物であった. 新Subpopulationの病原性の減弱は, 全く均一に起きる訳ではなく, 弱毒化した第27代継代ウイルスを接種した豚個体内では, 血中に連続的に夫々病原性及び免疫原性の異るSubpopulationの出現を見, ある時期に採取した血液材料から強い病原性を有するウイルスが分離出来た. 最初にクローニングを行ってから23代継代培養したウイルスの99.9%は, 接種豚にSubclinicalな感染を起す弱い病原性を示すウイルスであったが, 耐過豚を親株であるTengani株で攻撃した所, 完全な感染防御を示さなかった. Tengani株ウイルス中には, Lisbon '60株と共通の免疫原性を有するSubpopulationと, Tengani株固有のSubpopulationを保有する事が明らかとなった.
  • 多田 融右
    1992 年 54 巻 1 号 p. 53-56
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    滋賀県において, 1983年7月に, 犬の右心室, 肺動脈より得た犬糸状虫Dirofilaria immitisの体長頻度分布は正規型を示すのに対し, 1983年10月, 1984年1月, 5月に得た虫体では, 発育期にある短体長虫体の混合寄生のため, 正規分布に一致しなかった. 多峰性頻度分布解析の結果, 各時期に得られた虫体は, それぞれ異なった平均体長, 標準偏差, 構成比率をもつ1-3の体長群に分けられ, 分布型の連続的変化が見られた. 短体長群の体長と対応する感染後月齢との関係から, 1983年の感染期は4, 5月から10, 11月の期間であったと推測された. 1月に得られた短体長雌虫群の構成から, 1983年の年間感染率は, 新規感染が48%, 既感染大の再感染が93%, 雌虫の年間感染数の幾何平均は8.5と推定され, 1983年に新規に感染を受けた犬における雌虫数は, 負の二項分布に一致したのに対し, 既感染大における1983年の再感染雌虫数は, ポアソン分布を示すと考えられた.
  • 小川 絵里, 川上 淳, 八木 高広, 天谷 友彦, 藤瀬 浩, 高橋 令治
    1992 年 54 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    遺伝性高 Na, K-ATPase犬赤血球(犬HK赤血球)膜の酸化的障害について, 正常犬赤血球(犬LK赤血球)との比較を行った. 30 mMβ-アセチルフェニルヒドラジン(APH)を両赤血球に作用させると, 過酸化脂質形成, ヘモグロビン変性が充進した. マロンダイアルデヒド(MDA)生成量により測定した過酸化脂質形成量は, 両赤血球のグルタチオン(GSH)濃度が適正に保持されている限りにおいて, 犬HK赤血球の方が犬LK 赤血球に比べ有意に低かった. しかしGSHが涸渇した後はMDA生成が促進され, 両者の差は見られなくなった. 膜タンパク質に結合した変性ヘモグロビンは, 犬HK赤血球の方が犬LK赤血球に比べ少なかった. APHの作用により犬LK赤血球の浸透圧脆弱性は著しく増加したが, 犬HK赤血球はほとんど変化を示さなかった. 赤血球膜の総脂質, 総コレステロール, 遊離コレステロール, 糖脂質, リン脂質, 脂肪酸の含有量は両赤血球でほぼ等しかったが, 脂肪酸の組成においてわずかな違いがみられた. 犬HK赤血球膜は大量に存在するGSHにより, APHのもたらす酸化的障害からより強固に守られていることが示された. また犬HK赤血球が酸化的障害に対し抵抗性を持つのは, 赤血球膜脂質組成の違いによるものではないと考えられる.
  • 牧村 進, 佐脇 正邦
    1992 年 54 巻 1 号 p. 63-67
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    イヌ末梢血多形核白血球(PMNs)の貧食殺菌機能の一つの検査法として, ザイモザン刺激によるルミノール依存全面ケミルミネッセンス法(全血CL)について検討した. また全血CLの測定値(peak CL値およびpeak time)におよぼす血液希釈率, 保存温度および各種消去剤の影響も検討した. その結果, 本法においては, 微量全面(0.1ml)を用いてpeak CL測定値が20分で得られた. PMNsの貧食機能は全血CLのpeak CLと測定全血中のPMNsの数から測定でき, オプソニン活性はザイモザン添加後のpeak CLまでの時間(peak time)によって評価できた. 以上の成績から, 本法によってイヌ全血中の貧食機能に関与する情報が得られることが確認された.
  • 河野 潤一, 山本 健, 古賀 聖浩, 清水 晃, 木村 重
    1992 年 54 巻 1 号 p. 69-73
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    脱嚢日本産幼肝蛭をウサギ, マウス, ラットおよびニワトリの結紫腸管に注入し, 腸管を培養して幼肝蛭の腸管壁突破を調べた. ウサギ腸管各部位における腸管突破率は直腸, 十二指腸で比較的高率であり, 回腸, 空腸, 盲腸, 結腸はこれに次いだが, 相互にそれほど大きな差異はなかった. 虫垂では若干低率であった. マウス腸管では, 空腸, 直腸において高率であったが, 十二指腸, 盲腸においてもほほ同様に高率であった. ラット腸管では, 空腸では比較的高い突破率であったが, 十二指腸と直腸では低率であった. ニワトリ腸管では十二指腸, 空腸, 直腸のいずれにおいても突破率は極めて低かった. 結局, ウサギおよびマウスでは脱嚢した幼肝蛭は宿主腸管のいずれの部位においても突破可能であり, ラットでは空腸を含む小腸中間部が突破好適部位と考えられた. また, ニワトりが肝蛭に容易に感染しない要因のひとつとして, 幼肝蛭の腸管突破率の低いことが推察された.
  • 河野 潤一, 古賀 聖浩, 清水 晃, 木村 重
    1992 年 54 巻 1 号 p. 75-79
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    鶏における日本産肝蛭感染の阻害因子を明らかにするため, in vivoおよびin vitroにおいて各種の検討を行った. メタセルカリア(MC)の経口投与, 脱嚢幼肝蛭の体内注入および外科的な肝表面への移入のいずれの投与方法によっても感染の成立をみなかった. 経口投与例の糞便からMCの被嚢のみが感染後1-2日に多数検出された. また, 鶏胆汁を用い42℃で行った実験ではMCの脱嚢は良好であった. したがって, 最重要感染阻害因子は口腔から肝臓に至る移行経路に働くものではなく, 虫体の成長過程に存在することが推察された. 病理組織学的には, 実験鶏の肝臓における病変は出血, 好酸球およびリンパ球による浸潤など他の感受性動物における肝蛭病変と質的に異なることがなく, 組織反応による感染阻害は認められなかった. 脱嚢幼肝蛭を50%子牛血清加RPMI 1640培地を用いて培養したところ, 温度上昇とともに肝蛭の生存は著明に困難となり, 42℃では培養3日ですべてが死滅した. 鶏血清を用いても37℃では肝蛭はよく生存したが, 42℃では4日ですべて死滅した. 鶏においては高体温が肝蛭感染阻害の最大要因であると推察された.
  • 加藤 憲夫
    1992 年 54 巻 1 号 p. 81-86
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    牛胎盤と宮阜のプロティンキナーゼC (PKC)とその基質, 及びエストラジオールレセプター(ER)について調べた. PKCは両組織のサイトゾル及び総顆粒画分の双方に局在し, それらの総活性は肝臓及び乳房等, 他の組織の活性値と同程度であった. 胎盤と宮阜のPKCはパルミトイルカルニチン, ゴシポール, アドリアマイシンにより阻害された. PKCの基質としては, 胎盤では125Kタンパク質, 宮阜では2種類の低分子タンパク質が検出されたのみであった. 両組織ではカルシウムはリン酸化に対して抑制的に作用した. ER濃度は胎盤と宮阜のサイトゾル及び核で同様の値が検出されたが, 核レセプター濃度は妊娠子宮のそれに比べ, はるかに低かった. 牛胎盤と宮阜では, PKCとERを介する情報伝達系が機能的に抑制されているように見える.
  • 宮原 和郎, 松本 徹, 戸瀬 信一, 櫻井 治久, 五十嵐 郁男, 齋藤 篤志, 広瀬 恒夫, 鈴木 直義
    1992 年 54 巻 1 号 p. 87-93
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    TLAで感作されたBALB/cマウス脾臓細胞をTLA或いはrecombinant human interleukin-2(IL-2)添加培養すると, NK感受性標的細胞(YAC-1, RL♂-1)およびNK非感受性標的細胞(P-815)に対する強い細胞障害性が認められた. この細胞障害性は培養液に添加するTLA濃度の上昇に伴って増強した. TLA感作マウス脾臓細胞をさらにTLA添加培養して得られた細胞をエフェクター細胞として, 抗asialo GM1血清あるいは抗Thy-1血清と神体で処理すると, エフェクター細胞の障害性は抑制された. しかし, 抗Lyt-2.2抗体と補体で処理しても細胞障害は抑制されなかった. さらにTLAで感作されたマウスの脾臓細胞を抗asialo GM1血清と抗Thy-1血清或いはその両方と補体で処理するとエフェクター細胞の細胞障害性は抑制された. これらの結果から, in vivoおよびin vitroの両方でTLA感作ざれた脾臓細胞はasialo GM1陽性とThy-1陽性の細胞であり, 誘導された細胞障害性細胞の主体はIL-2で誘導されるLAK細胞に類似した細胞であることが示唆された.
  • 中島 聡, 平泉 真吾, 小野寺 邦男, 鈴木 裕之, 工藤 洋一, 百目鬼 郁男
    1992 年 54 巻 1 号 p. 95-98
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    13頭の肉用牛に対し黄体期の9-14日目にPMSG 4,000 i.u., その48時間と55時間後にPGFの500μgを2回投与して多排卵誘起処置を施した. このうち7頭は発情の12時間後に抗PMSG血清を筋肉内に注射し, 他の6頭については抗血清を投与せず対照区とした. 血漿中Progesterone(P)とEstradiol-17β(E2)値の動態が両群の多排卵成績との関連で比較された. 抗血清処置区では対照区に比べて, 黄体数, 共存卵胞数ならびに移植可能胚数に有意な差は認められなかった. しかし, 良質な胚の割合が増加する傾向が窺われた. 血中P濃度には抗血清処置牛ならびに対照牛間に著差は見られなかったが, 血中E2値には著しい差異が認められた. すなわち, 抗血清処置牛では発情後のE2値の再上昇が抑制されていた. 以上の結果から, PMSG/PGF処置牛に対する発情12時間後の抗PMSG血清の投与によって, 排卵後の高エストロジェン環境が抑止されるため, 回収胚の品質が改善されたものと考えられた.
  • 塚本 健司, 長谷部 誠, 垣田 慎一郎, 谷口 幸弘, 日原 宏, 甲野 雄次
    1992 年 54 巻 1 号 p. 99-103
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    垂直伝播を起こす母鶏(垂直伝播鶏)の摘発に, 新鮮卵白のウイルス検査がどの程度有効かを, トリ白血病ウイルス(ALV)抗体を保有する白色レグホーン種の母鶏73羽を用いて調べた. ウイルス検査では11羽が陽性であったが, ウイルス抗原検査では7羽が陽性であったことから, 垂直伝播鶏の摘発には, 卵白のウイルス検査が抗原検査より効果的であることが示された. 次に, 新鮮卵白のウイルス検査陰性の非排泄鶏(20羽)について, 鶏胚感染と卵管, 膣へのウイルス放出との関係を調べた. 4羽から得た50個の鶏胚中6個がウイルスに感染していたが, 残る16羽から得た227個の鶏胚は全て非感染であった. 卵管及び膣へのウイルス放出は, 垂直伝播を起こしたこの4羽に加え, 垂直伝播を起こさなかった6羽でも認められた. これらの結果から, 非排泄鶏でも, 卵管ヘウイルスを放出する母鶏では偶発的に垂直伝播が起こることが示唆された.
  • 杉本 弘司, 櫻井 信夫, 金子 昌生, 白澤 春之, 柴田 清, 宮田 学, 野口 庸司, 植松 健一, 下田 貫三, 坂田 順
    1992 年 54 巻 1 号 p. 105-110
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    慢性腎障害牛7例についてMiroangiographyと病組織所見との関連性を検討した. 著しい動脈壁の肥厚や管腔の狭窄・間質における炎症や腫瘍の形成など病理学的に重度な所見を示した腎孟腎炎例においては, Microangiographyにより皮質から髄質までの後糸球体尿細管周囲血管叢の柵状の消失や小葉間動脈の蛇行・先細りまたは行止まりが認められた. また, 直動脈や毛細血管の像影増加および広範な皮質の像影不良領域も描出された. 病理組織学的に中等度腎孟腎炎と軽度間質性腎炎を示した症例では, Microan-giographyによって腎臓内血管系の局所的な変化が描出され, その変化は病理組織学的な障害の程度に一致していた.
  • 杉本 弘司, 櫻井 信夫, 藤瀬 裕, 白沢 春之, 柴田 清, 松尾 雅子, 高橋 利枝, 小森 由美子, 二改 俊章, 杉原 久義, 福 ...
    1992 年 54 巻 1 号 p. 111-118
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    草薬処方剤から腎障害の改善に有効な成分の抽出分離を行ない, 精製百歩蛇毒プロテアーゼによるマウスの実験的糸球体腎炎に対する抑制効果を検討した. 草薬処方剤の熱水抽出物を通常の分別法によりエーテルで抽出し, 中性及び塩基性画分と酸性画分に分別した. 酸性画分に有効性がみられたため, さらに, 酸性画分を薄層クロマトグラフイーや分光学的手法を用いて検索した結果, 酸性画分の主要の成分のlつはカフェー酸であることが確認された. また, 市販カフェー酸は, 蛇毒プロテアーゼによるマウスの実験的腎障害に対して抑制効果を示した. これは, カフェー酸により, プロテアーゼの酵素活性の低下した結果と考えられた. カフェー酸は, 病理発生に蛋白分解酵素が関与する腎糸球体障害の予防または抑制効果があると推察された.
  • 遠藤 秀紀, 九郎丸 正道, 西田 隆雄, 服部 正策, 林 良博
    1992 年 54 巻 1 号 p. 119-123
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    心筋組織の肺静脈壁への分布が, 多くの哺乳類で報告されている. 同組織の哺乳類における系統発生学的起源を明らかにする目的で, 食虫類ジャコウネズミ(スンクス)の肺内肺静脈を, 光顕及び電顕を用いて観察した. 心筋組織は肺門部より肺内肺静脈小枝にまで広く分布し, 同構造の系統発生学的起源は, 最も原始的な哺乳類のグループにまで, さかのぼることができると考えられた. 微細形態学的には, 肺静脈の心筋細胞は, 左心房の心筋細胞と類似し, 大型の脂肪滴の分布が特徴的であった. また, これらの結果から, 同構造が肺循環血流の制御に寄与していることが示唆された.
  • 阿部 則夫, 阿部 絵里, 湯浅 亮
    1992 年 54 巻 1 号 p. 125-130
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    生体アミンである5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)は, 一部がグルクロン酸抱合体として尿中ヘ排泄されるが, この反応を触媒するUDP-グルクロニルトランスフェラーゼ(GT)に関する知見は少ない. 今回, 0.6N-NH4OH飽和n-アミルアルコールによる未抱合5-HTの抽出除去と抱合5-HTの発色定量とからなる簡便で再現性の良い5-HT抱合GT活性測定法を開発し, この測定法を用いてラット肝ミクロゾーム中での本酵素の性質を調べた. 5-HTに対して酵素活性はミカリス-メンテン式(M-M式)に従い, K5-HTは0.1 mMであった. UDP-グルクロン酸(UDPGA)に対してはM-M式に従わず, KUDPGAは0.6と5mMであった. Mg2+添加により活性値が増大した. Mg2+に対して活性はM-M式に従わず, KMg2+は1.1と10mMであった. Mg2+による5-HT抱合GTの活性化に関して, (1)K5-HTはMg2+を添加しても変わらないが, Vmaxは増加した, (2)低濃度Mg2+では, Mg2+添加濃度増大に伴い, KUDPGAは減少し, Vmaxは増加した, (3)高濃度Mg2+では, Vmaxの増加は続くがKUDPGAの減少はなかった. 以上の結果より, Mg2+は低濃度では酵素との親和性が高いUDPGA-Mg2+複合体をまず形成し, KUDPGAの減少とVmaxの増加をもたらし, 高濃度では直接酵素と結合してVmaxの一層の増加をもたらすものと考えた.
  • 新井 敏郎, 佐々木 稔, 塩見 美江, 野中 哲, 落合 謙介, 大木 与志雄
    1992 年 54 巻 1 号 p. 131-135
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    新生仔期に背部皮下に4 mg/gのアスパラギン酸ナトリウム(MSA)を投与されたハタネズミとマウスにおいて, 体重および肝アセチルCoAカルボキシラーゼ活性の変動を測定した. MSAを投与されたマウスでは, 血漿インスリン値とアセチルCoAカルボキシラーゼ活性が有意に増加し, 顕著な肥満が観察された. 正常ハタネズミの肝アセチルCoAカルボキシラーゼ活性は低く, マウスの値の1/2以下であった. MSAを投与されたハタネズミにおいて, インスリン値は有意に増加したが, アセチルCoAカルボキシラーゼ活性は特に変動せず, 肥満も認められなかった.
  • 島田 章則, 桑村 充, 粟倉 毅, 梅村 孝司, 高田 邦安, 大浜 栄作, 板倉 智敏
    1992 年 54 巻 1 号 p. 137-144
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    老人斑と脳血管アミロイド症の分布を明らかにするため, 10歳以上の老犬の脳の連続切片を作製し, それらの切片を, チオフラビンS染色や改良ビルショウスキー染色などの特殊染色法および抗ベータ蛋白抗体を用いた免疫組織化学的手法により病理学的に検索した. 密なアミロイド沈着を認める老人斑, すなわち成熟斑(mature plaque)と血管周囲斑(perivascular plaque)は, アミロイド沈着を伴う血管(脳血管アミロイド症)と常に密接な位置的関係を示した. 一方, ほとんどの瀰漫型斑(diffuse plaque)は脳血管アミロイド症の分布とは無関係に存在していた. 瀰漫型斑は, 多くの場合神経細胞とダリア細胞の両者あるいはいずれか一方を含んでいた. また, 免疫染色により神経細胞の辺縁に時折アミロイド沈着が認められた. 以上の所見より, 老犬の脳における老人斑諸型の形成過程にそれぞれ異なるメカニズムが関与することが示唆された.
  • 楠 晴雄, 原 稔生, 斎藤 京子, 蓮田 勝美
    1992 年 54 巻 1 号 p. 145-148
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Staphylococcus aureus KS 1034株から分離精製した遊離型低分子プロテインAについて,アミノ酸分析および末端分析を行った. C末端アミノ酸配列は -Asn-Ala-pheであり, N末端アミノ酸配列は Ala-Gln-His-Asp-Glu-Ala-Glnであった. 免疫化学的性質は S,aureus Cowan I株由来プロテインAと同様の反応性を示した. また, KS 1034株の菌体外プロテアーゼ活性は, ニワトリ由来遊離型低分子プロテインA産生 S,aureus C-30株に比べかなり低いものであった.
  • 韓 晋洙, 乗松 真里, 板垣 慎一, 土井 邦雄
    1992 年 54 巻 1 号 p. 149-151
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    6カ月齢から巣状糸球体硬化症を発症することが知られているAPAハムスターの4, 8および12週齢時の腎臓を病理学的に検索した. 基底膜様物質の増加とメサンギウム細胞の増数によるメサンギウム領域の巣状かつ軽度の拡張および上皮細胞の2次足突起の融合が4週齢で観察された. このような変化は週齢とともに進展し, 12週齢では電子密度の増加を伴う基底膜の結節状肥厚を伴っていた. 4週齢から2/3例に認められた蛋白尿は12週齢になると全例で観察された. 一方, 組織学的コントロールとして使用したStd:ゴールデンハムスターの腎臓には病理学的変化は認められなかった.
  • 塚本 健司, 谷村 信彦, 日原 宏, 白井 淳資, 今井 邦俊, 中村 菊保, 前田 稔
    1992 年 54 巻 1 号 p. 153-155
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1990年夏頃から, 西日本を中心に高い死亡率を示す伝染性ファブリキウス嚢病(IBD)様疾病が発生した. そこで, 6県の6発症鶏群からのIBDウイルス(IBDV)の分離を試みたところ, 発症鶏14羽のファブリキウス(F)嚢乳剤全例からIBDVが分離された. そのうち5株の病原性を4週齢のSPF鶏を用いて検討したところ, 何れの株も高い死亡率(30%-70%)を伴う病原株で, 脚筋肉と腺胃に出血を起こし, F嚢と胸腺に萎縮を引き起こした.
  • 梅村 孝司, 白木 克尚, 森田 剛仁, 島田 章則, 播谷 亮, 小林 勝, 山形 静夫
    1992 年 54 巻 1 号 p. 157-159
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    5力月齢の雌犬が後肢虚弱のため来診した. その後, 症状は四肢および舌麻庫へと進行し, 20日後に死亡した. 主要病変は中枢神経系および全身骨格筋の重篤な慢性壊死性炎症で, 同質病変が肝臓および心臓にも見られた. これら病巣の内・外にトキソプラズマ様の組織嚢胞とタキゾイトが多数認められた. 酵素抗体法および超微形態所見より, 本例はネオスポラ症と診断された. 本報告は本邦でのネオスポラ症発生に関する初めての報告である.
  • 北川 均, 佐々木 栄英, 松井 昭秀
    1992 年 54 巻 1 号 p. 161-162
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ^<51>Cr法により測定した犬糸状虫寄生犬の赤血球半寿命は, 無症状犬では20~29日, 軽症犬では15.3±5.9(SD)日, 重症犬では11.2±5.2日であった. 軽症犬と重症犬の半寿命は, 非寄生犬よりも短縮していた. 赤血球半寿命は, RBC数, 網状赤血球数, 体重1kgあたりの犬糸状虫寄生数と有意に相関した. 尿または腎臓の尿細管にヘモジデリンが検出された例では, 検出されなかった例よりも赤血球半寿命が有意に短縮していた.
  • 平原 正, 安原 寿雄, 山中 盛正, 松井 修, 木村 喜洋, 出水田 昭弘, 吉木 研一, 佐藤 享二, 児玉 和夫, 佐々木 文存, ...
    1992 年 54 巻 1 号 p. 163-164
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    豚呼吸器病例の気道から分離された豚血球凝集性脳脊髄炎ウイルスNPTr 32株とONS 204株を3日齢マウスの脳内に接種すると, 11~19日の潜伏期後に一部のマウスが中枢神経症状を呈し, 脳からウイルスが回収された. 乳のみマウス継代により潜伏期間は4~5日となり全例が死亡するようになった. 両ウイルス株を接種された4週齢モルモット(鼻腔・口腔・皮下接種)及び3週齢マウス(脳内・鼻腔・口腔・腹腔内・皮下接種)は, いずれも無症状に経過した.
  • 藤瀬 浩, 高波 宏, 山本 真朗, 太田 郁子, 山本 静雄, 深瀬 徹, 内貴 正治, 秋浜 澄行, 小川 絵里, 高橋 令治
    1992 年 54 巻 1 号 p. 165-167
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    犬C-反応性蛋白(CRP)の簡易精製法として, CRPの肺炎双球菌C多糖体への結合を阻害するフォスフォリルコリン(PC)を用いたアフィニティークロマトグラフィーとゲルろ過を組み合わせた方法を検討した. 本法で精製した犬血清中の急性相蛋白は, 蛋白化学的, 免疫学的検討で, CRPであることが確認された. 本CRPを用いて作成した抗CRP血清による免疫1次拡散法により, 血清CRP濃度測定も可能であった.
  • 伊東 登
    1992 年 54 巻 1 号 p. 169-170
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    飼鳥の血液化学的検査値の報告はきわめて少ないので, 将来病的状態の動物における検査値の変動を調べるため, 臨床的に正常と思われるセキセイインコのALP, AST, ALT, LDH,アミラーゼ, 総コレステロール, 尿酸値を求めた. また採血方法の違いによりそれらの値が変動するかを調べたところ, 頚静脈採血の方が, 開腹後,心臓穿刺する方法に比べて検査法として推奨できるものと思われた.
  • 清宮 幸男, 大島 寛一, 伊藤 博, 小笠原 信幸, 菊地 善彦, 播谷 亮, 谷村 信彦, 浜岡 隆文
    1992 年 54 巻 1 号 p. 171-172
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    痙攣, 反弓強直, 眠球振盪など顕著な神経症状を示した37日齢の黒毛和種の雄子牛を病理並びに細菌学的に検査した. 肉眼的に, 出血性壊死巣が大脳, 小脳, 橋および延髄に多発した. 組織学的に, 壊死巣内には鬱血, 出血, 血管炎や血栓症などの血管病変, 神経網の疎性化およびび慢性好中球浸潤が観察された. 軽度ないし中程度の化膿性炎が脳脊髄軟膜にみられた. 免疫組織化学的に観察したところ, 壊死巣内に多数のClostridium septicum抗原が検出された. 細菌学的に, 脳より同菌が分離された. これらの結果から, 血栓栓塞性髄膜脳炎類似の脳病変は同菌の感染に関連していた可能性が疑われた.
  • 宮沢 孝幸, 豊崎 朋子, 朝長 啓造, 乗峰 潤三, 大野 耕一, 長谷川 篤彦, 甲斐 知恵子, 見上 彪
    1992 年 54 巻 1 号 p. 173-175
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ネコ免疫不全ウイルス(FIV)に高感受性のMYA-1細胞は, ネコCD4, 汎T, MHCクラスII, インターロイキン2レセプターα陽性, ネコCD8陰性であった. また, MYA-1細胞の染色体には, FIVの組込みは見られなかった.
  • 織間 博光, 多川 政弘, 江島 博康, 清水 幹子, 藤田 道郎, 鷲巣 誠
    1992 年 54 巻 1 号 p. 177-178
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    人工呼吸器の駆動源として, 従来から使用されている高圧酸素あるいは圧縮空気の代わりにブロアーを用いた大動物用人工呼吸器を作製し, その実用性をホルスタイン成牛を用いて検討した. 作動音が大きいことなど, 改良を要する点も認められたものの, 十分な酸素化と換気が得られ, ランニングコストも低く, また運搬性にも優れ, 経済動物の人工呼吸や野外での呼吸管理に有用であると考えられた.
  • 那須 哲夫, 中井 雅晶
    1992 年 54 巻 1 号 p. 179-180
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    スズメの下垂体血管の樹脂鋳型標本を作製し走査型電子顕微鏡で観察した. 鳥類では正中隆起の毛細血管, 下垂体門脈および主部の毛細血管は前後に分かれ, それぞれ独自のホルモン支配経路があると言われている. 今回の観察では, これらの血管系の前後区分は出来ず, スズメにおいては下垂体血管系に独立性は見られなかった.
  • 原 康, 江島 博康, 石田 卓夫, 青木 重人, 多川 政弘, 本好 茂一, 清水 眞澄, 七戸 和博
    1992 年 54 巻 1 号 p. 181-184
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ネコ白血球膜上の抗原(F2抗原)に対するモノクローナル抗体を作製した. F2抗原は分子量48,000のタンパクと考えられ, ネコの白血球膜表面に発現しているが, 赤血球, 血小板には発現されていなかった. また, ヒト, イヌ, ウシ, ブタ, ウサギ, およびモルモットのリンパ球には交叉する抗原は認められなかった. 74頭のネコにおけるスクリーニングでは, 61頭がF2(+)型, 13頭がF2(-)型に分類され, 家系調査から遺伝性抗原と考えられた. マイトージェン刺激リンパ球では, F2抗原の発現は経時的に減少する傾向が認められた. これらの結果から, F2抗原はヒト及び他の動物で認められるクラスI抗原に類似した抗原であることが示唆された.
  • Widyastuti Yantyati, 李 完揆, 鈴木 邦夫, 光岡 知足
    1992 年 54 巻 1 号 p. 185-188
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    稲わら給餌の牛のルーメンから2株の稲わら分解性クロストリジウムを分離した. 両分離株とも稲わら粉末を添加した嫌気性ロールチューブ培地でコロニーの周囲に透明環を形成し, 精製した稲わら細胞壁を添加した培養では72時間で約15%を消化した. 稲わら粉末添加培地中には糖およびVFAが生成された. 生化学的性状から両分離株ともこれまで報告されている中温性繊維素分解性クロストリジウムとは異なっていた.
  • 乗峰 潤三, 宮沢 孝幸, 川口 寧, 新倉 昌浩, 甲斐 知恵子, 見上 彪
    1992 年 54 巻 1 号 p. 189-191
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ネコ株化細胞であるCRFKおよびfcwf-4細胞において6種のウイルスプロモーター, RSVLTR, HCMV IE, SIVAGMLTR, FIV TM1 LTR, FeLVLTR, SV40 early promoterのプロモーター活性をCATアッセイを用いて測定し比較検討した. その結果, RSV LTR, HCMV IE, およびSIVAGMLTRにおいて高いプロモーター活性が検出され, CRFKまたはfcwf-4細胞における外来DNAの発現にこれらのプロモーターが, 有効であることが示唆された.
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