抄録
褐毛和種にみられた不均衡な体型を示す合計20例の子牛を形態学的に検索した. 異常子牛5例の検索から, 軟骨内骨化不全が四肢長骨に限定して見られたが, そのほかの付随した病変は認められなかった. 骨端軟骨板の組織学的な変化や病変の発現部位から, 本症例は肢端型軟骨異形成症と考えられた. 従って, 本疾患は牛の矮小体〓症の1タイプであることが明らかとなった. また, 他の15例における脛骨近位部の三次元画像解析や組織学的な検索から, 脛骨の短小化と変形は骨端軟骨板の分布状態と障害の程度に関連していた. 軟骨基質には線維増生や類嚢胞変性, 針状骨形成, 壊死, 亀裂などの病変が確認された. また, 不均質なメタクロマジーは硫酸基をもつグリコサミノグリカンの異常染色性を示唆しており, アルシアンブルーに対する染色性はプロテオグリカンと他の基質構成要素との相互作用の異常を示すものと考えられた. 軟骨一骨境界面では, 不規則な石灰化や線維性瘢痕, 骨組織による封鎖などがみられ, それらへの血管の分布状態は異なっていた. 本症におけるこれらの変化は骨端軟骨板のモデリング障害で軟骨細胞の分化形成障害と基質の形成障害と考えられた.