Journal of Veterinary Medical Science
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54 巻, 3 号
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  • 阪野 哲也, 種田 貴至, 岡田 宗典, 小野 雅明, 小林 洋一, 佐藤 静夫
    1992 年 54 巻 3 号 p. 403-407
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    豚萎縮性鼻炎(AR)が発生している1養豚場について調査したところ, AR症状は5週齢以下の豚群では認められなかったが, 2カ月齢以上の約60%の豚に認められた. 屠場出荷豚の鼻甲介は全頭とも萎縮していた. この養豚場で飼養中の2及び5週並びに2, 4及び6カ月齢の各10頭について, 鼻腔からの菌分離を行ったところBordetella bronchiseptica は発症前及び発症直後の豚群(2週~2カ月齢)からは分離されず, またPasteurella multocida D型は全頭から分離されなかった. 一方, 毒素産生 P.multocida A型が発症前及び発症直後の豚群から高率に分離された. 5週齢の発症豚から分離した毒素産生 P.multocida A型ZF-899株を36日齢のPrimary Specific-Pathogen-Free豚の鼻腔内に5日間接種し, 3週後に剖検したところ, 全頭の鼻甲介が重度に萎縮していた. これらの成績から, 毒素産生 P.multocida A型による重度なARの発生が我国において初めて確認された.
  • Sinchaisri Tip-Aksorn, 永田 伴子, 吉川 泰弘, 甲斐 知恵子, 山内 一也
    1992 年 54 巻 3 号 p. 409-416
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    狂犬病ウイルスCVS株を, 脳内, 眼球内, 鼻腔内, 筋肉内, 皮下それぞれの経路でマウスに接種した後, 中枢神経系におけるウイルスの広がりをアビジン-ビオチン複合体(ABC)法を用いた免疫化学的および病理組織学的手法によって経時的に検索した. 脳内接種と眼球内投与群でのみマウスは致死性感染を生じたので, この2経路において詳細な検討を行った. 脳内接種マウスでは, ウイルス抗原は主に大脳皮質の神経細胞, 錐体細胞, 海馬の顆粒細胞に認められた. 眼球内接種マウスにおいては, 最初に三叉神経節に検出され, 続いて大脳皮質と小脳に広がっていく傾向が観察された. 海馬で眼球内接種の初期では極く僅かの細胞に抗原が認められたのみであった. いずれの経路においても感染マウスの中枢神経系には炎症像もNegri小体も認められなかった. この結果から, 死に至る運動失調や衰弱といった臨床症状は, 炎症反応によるものではなく, ウイルスの神経系機能への直接的な影響に起因することが示唆された. また, 通常の病理組織学的検査や海馬のスタンプ標本の蛍光抗体法では狂犬病の同定ができない症例が存在する可能性が示唆され, 狂犬病を疑われて早期に死亡した患者や屠殺された動物などの検査には, ABC法が有用であると考えられた.
  • 土田 修一, 池本 卯典
    1992 年 54 巻 3 号 p. 417-424
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    イヌのミトコンドリアDNA多型を14種類の6塩基認識制限酵素を用いて検討した. その結果, Apa I, EcoR I, EcoRV, Hinc IIおよび Sty I の5種類の制限酵素で多型は検出された. しかし, BamH I, Bgl II, Hae II, Hind III, Pst I, Sal I, Stu I, およびXba Iの9種類の制限酵素では検査した20例全てで同一の切断パターンを示し, 多型は観察されなかった. 検査した20例のイヌは制限酵素を用いたミトコンドリアDNA多型の組み合せにより7つのタイプに分類された. 各タイプ間の遺伝距離より系統樹を作成したところ, イヌのミトコンドリアDNAは少なくとも2つのクラスターに分類されることが明らかになった.
  • 田口 清, 佐藤 輝夫, 廣田 和久
    1992 年 54 巻 3 号 p. 425-428
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    第四胃変位乳牛の肝生検を行ったところ47頭中34頭(72%)で肝臓に脂肪浸潤が認められた. 肝脂肪浸潤の程度は第四胃右方変位よりも第四胃左方変位で有意に高かった. 第四胃左方変位の非治癒群のスルホブロモフタレイン(BSP)半減時間は有意に遅延していた. 第四胃左方変位においてBSP半減時間が11分以下の症例では肝臓の脂肪浸潤の程度に関わりなく全例治癒したが, 11分を超える症例の治癒率は44%で有意の低値であった. したがってBSP半減時間の検査が第四胃左方変位手術の予後診断に有用であると考えられる.
  • 土谷 稔, 涌生 ゆみ, 山岸 保彦, 勝田 修, 奈良間 功, 板倉 智敏
    1992 年 54 巻 3 号 p. 429-434
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    糖尿病を自然発症するWBN/Kobの雄ラットの膵臓におけるインスリン, グルカゴンおよびソマトスタチン陽性細胞の数的変化について検索した. 検査対象ラットは週齢によって3つの群に分けた:I群(12週齢)とII群(33週齢)は臨床的に糖尿病を発症しておらず, III群(60~90週齢)は糖尿病であった. I・II群の血糖値は正常範囲内にあったが, III群のそれは著しく高かった. BおよびA細胞数はII・III群で顕著に減少していた. II群(糖尿病発症前)では, 内分泌細胞の総数は著減したもののB/A細胞比は正常に保たれていた. III群ではB細胞の割合が有意に減少していた. II群ではB細胞とA細胞の良好なバランスによって正常血糖値が保持されIII群では内分泌細胞の総数の減少に加えてB細胞とA細胞の数的不均衡が糖尿病態を引き起こしたと考えられた.
  • 平 知子, 藤永 徹, 奥村 正裕, 山下 和人, 角田 修男, 水野 信哉
    1992 年 54 巻 3 号 p. 435-442
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ハプトグロビン(Hp)がウマ血清から飽和硫酸アンモウム塩析, 陰イオン交換クロマトグラフィー, ゲルクロマトグラフイーによって分離精製された. ウマHpはα2-グロブリン領域に含まれ, 分子量108,000および105,000の2つの型のHpから成り, それぞれの型は2つのサブユニットから成っていた. 抗ウマHp家兎血清を用いた単純放射免疫拡散法によって, ウマ血清中のHp量を測定した. 臨床的に健康な正常馬では, 血清Hp濃度は初乳未摂取の新生子で最も高く, 12か月齢まで高い濃度を維持していたが, その後漸減した. 12か月齢以下の子馬の血清濃度の平均は5.25±2.36mg/mlで, 18か月齢以上のそれは2.19±1.54mg/mlで, 全年齢の平均は3.62±0.81mg/mlであった. 周産期においでは, 正常雌馬の血清Hp濃度に比べて分娩前の4か月間は比較的高値を維持していたが, 分娩前後に一時的に増加し, 分娩後2週目に減少し, その後回復した. 実験的炎症作出馬では処置直後から上昇し, 2から5日目に処置前値の1.5~9倍の濃度に達し, 4週以内に減少した. 炎症性病態にある多くの症例馬において血清Hp濃度の上昇が認められた.
  • 品川 邦汎, 大竹 誠司, 松坂 尚典, 杉井 俊二
    1992 年 54 巻 3 号 p. 443-446
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    米飯および実験用培地を用いて, 嘔吐型および下痢型食中毒事例から分離したセレウス菌の産生する,HEp-2細胞に対する空胞化活性因子の産生およびその性状を調べた. 嘔吐型食中毒由来菌株は, 米飯添加培地および米粉平板培地での培養遠心上清中に高い空胞化活性因子を産生した. しかし, 本空胞化活性因子はBHI培地, トリプトソイブイヨンではほとんど産生されなかった. さらに, この活性因子は芽胞形成後に産生され, タンパク分解酵素(ペプシン, トリプシン), 加熱, pH(2.0, 11.0)処理に対して極めて安定であった. 嘔吐型食中毒事例から分離したセレウス菌110株中68株(61.8%)が空砲化活性因子を産生し, このうち食中毒発生が最も多い鞭毛(H)血清型1型菌76株中56株(73.7%)が産生陽性を示した. これに対し, 下痢型事例由来菌14株は全て産生しなかった.
  • 松田 あさみ, 片山 茂二, 岡田 伸隆, 岡部 達二, 佐々木 文存
    1992 年 54 巻 3 号 p. 447-452
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    モノクローナル抗体を用いてアフィニティー精製したオーエスキー病ウイルス(仮性狂犬病ウイルス, PRV)の糖蛋白, gII, gIIIおよびgVI抗原によるマウスの発症防御試験を実施した. 2回の免疫後マウスに8.5×103pfuのPRV岩手株を腹腔内攻撃した結果, gII, gIIIおよびgVIの混合抗原を1.5及び4.5μg免疫されたマウス, ならびにgIII単独抗原を4.5μg免疫されたマウスで100%の生存率を示した. さらに, 混合抗原を免疫されたマウスの攻撃前血清は精製PRVの主に93 Kilodalton (Kd)蛋白と129, 74, 68そして50Kd蛋白を認識し, 中和活性とマウス赤血球凝集阻止活性を示した. gII, gIIIおよびgVI単独抗原を免疫されたマウスでは生存率が55~82%と混合抗原免疫群に比べて低く, 混合抗原の優れた防御効果が確認された. また, 血中抗体価を測定したところ, 血中抗体が必ずしも防御能と関連しないことが示された.
  • 森友 靖生, 石橋 武彦, 宮本 元
    1992 年 54 巻 3 号 p. 453-459
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    褐毛和種にみられた不均衡な体型を示す合計20例の子牛を形態学的に検索した. 異常子牛5例の検索から, 軟骨内骨化不全が四肢長骨に限定して見られたが, そのほかの付随した病変は認められなかった. 骨端軟骨板の組織学的な変化や病変の発現部位から, 本症例は肢端型軟骨異形成症と考えられた. 従って, 本疾患は牛の矮小体〓症の1タイプであることが明らかとなった. また, 他の15例における脛骨近位部の三次元画像解析や組織学的な検索から, 脛骨の短小化と変形は骨端軟骨板の分布状態と障害の程度に関連していた. 軟骨基質には線維増生や類嚢胞変性, 針状骨形成, 壊死, 亀裂などの病変が確認された. また, 不均質なメタクロマジーは硫酸基をもつグリコサミノグリカンの異常染色性を示唆しており, アルシアンブルーに対する染色性はプロテオグリカンと他の基質構成要素との相互作用の異常を示すものと考えられた. 軟骨一骨境界面では, 不規則な石灰化や線維性瘢痕, 骨組織による封鎖などがみられ, それらへの血管の分布状態は異なっていた. 本症におけるこれらの変化は骨端軟骨板のモデリング障害で軟骨細胞の分化形成障害と基質の形成障害と考えられた.
  • 井上 智, 谷川 力, 川口 潤二, 飯田 孝, 森田 千春
    1992 年 54 巻 3 号 p. 461-463
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    関東地区6か所において家ネズミの捕獲を行ないリステリアの分離を行った. 捕獲ネズミ245匹のうち池袋の110匹と横浜の9匹がクマネズミ(Rattus rattus)であり, 他の126匹はドブネズミ(Rattus norvegicus)であった. リステリア属は鹿島と池袋の各捕獲総ネズミから77.8%と24.5%という高い値で分離されたが, 千葉, 船橋, 横浜, 沼津では0.0-7.3%という低い値であった. このうち, リステリアモノサイトゲネス(Listeria monocutogenes)は, 池袋で1O.9%という高い値で分離されたが, その他の場所では殆ど分離されず, 鹿島と沼津でそれぞれ1匹のネズミから分離されたのみであった. 家ネズミからのリステリア分離は, 地区によって非常に異なる値を示し, 特に都心のビルに生息するネズミのみからL.monocytogenesが高い値で分離されたことは大変興味深い成績であった. 今後, この分離率の違いについて, ネズミの生息環境や捕獲ネズミの種差に関して検討が必要と考えられた.
  • 水谷 哲也, 林 正信, 前田 秋彦, 山下 匡, 磯貝 浩, 波岡 茂郎
    1992 年 54 巻 3 号 p. 465-472
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ポジティブー本鎖RNAウイルスであるマウス肝炎ウイルス(MHV)のリーダーRNAに相補的なオリゴヌクレオチドでマウスDBT細胞を処理した場合のウイルス増殖に対する影響を検討した. 使用した14塩基長のアンチセンスオリゴヌクレオチドはリーダーRNAとMHVの7種のmRNA転写開始位置に共通して見られる塩基配列 UCUAA を含む領域に相補的な配列で合成された. このアンチセンスオリゴヌクレオチドの処理によって細胞内でのウイルス増殖やウイルス特異的mRNAやNタンパク質の合成が抑制されることが示された. 対応するセンスオリゴヌクレオチドやMHVの配列と関係のない配列を有するオリゴヌクレオチドの処理ではその様な阻害効果は認められなかった. これらの結果はリーダーRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドがMHVの増殖を抑制することを示している.
  • 石井 正人, 松葉 隆司, 高橋 清志, 川上 善三, 岩井 浤, 小沼 操
    1992 年 54 巻 3 号 p. 473-477
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Theileria sergenti感染仔牛を用い, 感染にともなう末梢血単球の活性化とパラシテミアの抑制について, 単球のルミノール依存ケミルミネッセンス反応とFcレセプターを検出することにより実施した. 単球の活性化は原虫寄生率のピークに先行して認められたが, この活性は原虫の増殖にともない低下した. 4頭の感染仔牛をプレドニゾロン処理したところ, 3頭では単球活性の低下にともない原虫寄生率の上昇が認められた. したがって単球の活性化とパラシテミアの抑制に関連のあることが明らかとなった.
  • 遠藤 秀紀, 九郎丸 正道, 西田 隆雄, 林 良博
    1992 年 54 巻 3 号 p. 479-484
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    心筋組織の前, 後大静脈壁への分布が, 多くの哺乳類で報告されている. また, 肺静脈壁への分布は, 種々の脊椎動物で観察されている. 一方, 鳥類では, 大静脈については報告がなく, 肺静脈に関しても十分な形態学的検討は行われていない. そのため, これらの主要静脈壁に分布する心筋組織の系統発生学的起源については, 全く検討されていない. そこで, ニワトリを用い, 前, 後大静脈, 肺静脈を, 光顕および電顕を用いて観察し, それらの部位における心筋組織の進化的起源について検討した. 心筋組織は, 前大静脈では鎖骨下静脈基部まで, 後大静脈では肝臓前線まで, 肺静脈では総肺静脈から肺門付近まで分布していた. この結果から, これらの主要静脈壁における心筋組織は, 進化的に保守的であり, その系統発生学的起源は, 鳥類にまでさかのほることができると考えられた. 微細形態学的には, 前大静脈, 肺静脈の心筋細胞は, 左心房の心筋細胞と類似し, transitional cellの存在が特徴的であった. 一方, 後大静脈の心筋組織では, 特殊心筋細胞の分布が確認された. また, これらの結果から, 同構造が循環血流の制御に寄与していることが示唆された.
  • 千早 豊, 岡田 洋之, 松川 清, 松井 幸夫
    1992 年 54 巻 3 号 p. 485-491
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    過去10年間に剖検された成牛692例中9例(1.3%)に播種性真菌症が認められた. これら9例は, 深在性真菌症(45/692例)の20.0%(9/45例)に相当していた. 播種性病巣は, 肺(3例), 心臓(2例), 肝臓(2例), 脾臓(1例), 腎臓(1例), 中枢神経系(1例)およびリンパ節(1例)に見られた. 病理組織学的には, 好中球の反応を伴う接合菌網の菌糸による肉芽腫性病巣, 壊死巣(梗塞を含む)および血栓性血管炎が見られ, ムコール症と診断された. 肝臓では, アステロイド・ボディを伴う肉芽腫性病巣が見られた. ムコール症の原発病巣は, 舌(1例), 第一胃もしくは第四胃(4例), 子宮(1例)に認められた. これら以外の3例では, 原発巣は明らかではなかった. 消化器系ムコール症の4例は, 呼吸器系アスペルギルス症との重複感染症であった. 検索した9例全ては様々な先駆疾患を伴っており, 6例は種々の長期にわたる消耗性疾患を有していた.
  • 関崎 勉, 中里 ユミ, 野々村 勲
    1992 年 54 巻 3 号 p. 493-499
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    鶏の病原性大腸菌にトリプチケースソイブロス(TSB)での静置培養で, 自家凝集が見られた. そのうち1株(PDI-386 )について, その自家凝集性について, さらに検討した. 培養液中のブドウ糖の分解による酸が, 自家凝集を誘発した. ブドウ糖を含まないLブロスで培養した菌は, 培養後に酸を加えることによって自家凝集し, 潜在的に自家凝集能を有することが分かった. 自家凝集性を有する親株(Agg)は, TSB寒天上でラフ型に似た辺縁不整な小集落を形成したが, これより派生した非凝集variant(Nag)は, スムーズ型の正円な大集落を形成した. TSB寒天上でNag集落はAgg集落から容易に出現した. TSB中での継代では, 自家凝集性は非常に不安定だったが, Lブロス中では安定に継代された. 電子顕微鏡下で, Agg菌には, 20μm以上の長い線毛が観察された. しかし, 自家凝集性の発現は, モルモットの血液を用いたマンノース感受性赤血球凝集反応と一致しなかった. Nag菌をLブロスで室温10日以上培養すると, 自家凝集性の回復が見られた. Agg菌とNag菌の間で, 菌表面の疎水性度, 膜蛋白とLPSのSDS -ポリアクリルアミド電気泳動像およびプラスミドプロファイルに差は無かった. Agg菌はNag菌よりも病原性が強かった. 本報告の自家凝集性は, 試験管内で不安定であり, 鶏に対する大腸菌の病原性を評価するときに, 注意すべき性状であると思われる.
  • 甲斐 一成, 行宗 美和, 村田 達海, 宇塚 雄次, 鹿江 雅光, 松本 治康
    1992 年 54 巻 3 号 p. 501-507
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)定量のための免疫酵素抗体(IPA)法をこのウイルスに対する抗体の定量法として発展させた. この定量法を用いて自然または実験的FIPV感染猫の感染後の経過を観察し, 以下の3型に分類できることがわかった. 感染後, 長期にわたって1万IPA力価以内の値を示す猫は健康であった(I型). I型群の中から散発的に急激なIPA抗体の上昇を示す(最終的に32万倍)猫が現れ, 腹水貯留・水頭症・眼病変などの典型的FIP症を示し, 死亡した(II型). 一方, 感染後ゆっくりと抗体上昇を示し, その後10万倍前後の値を長期間にわたって示しながらも健康に生存した猫が, 後肢麻痺を誘発して死亡した(死亡時2万倍;III型).
  • 石野 清之, 熊谷 清孝, 国吉 佐和子, 中澤 宗生, 松田 泉, 岡 基
    1992 年 54 巻 3 号 p. 509-515
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    10例のR.equi感染子馬の肺炎病巣をビオチン・ストレプトアビジン法によって検討した. 抗R.equi抗体による免疫染色法は本菌の検出と同定に有効であった. 本菌は抗BCG抗体にも反応した. 抗リゾチーム抗体はマクロファージに反応するが, 菌を貧食した細胞に強く反応する傾向があった. 抗α1-アンチトリプシン抗体も抗リゾチーム抗体と同様の傾向を示したが, 抗α1-アンチキモトリプシン抗体は両者に比較して弱く反応した. しかし, 電子顕微鏡による観察では細胞内の菌の形態は保たれているので, 菌表面物質が細胞内の酵素から菌体を保護している可能性があった. 抗IgM, IgG, およびIgA抗体に陽性の細胞は少なく, 肺炎病巣の周囲に散在する傾向があった. このことから免疫グロブリンによる抗菌作用はマクロファージによる食菌作用に比較して弱いと考えられた.
  • 大野 耕一, 亘 敏広, 後飯塚 僚, 辻本 元, 長谷川 篤彦
    1992 年 54 巻 3 号 p. 517-522
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ネコ免疫不全ウイルス(FIV)感染ネコの末梢血単核球(PBMC)におけるCD4, CD8, IL-2レセプターα(IL-2Rα)およびMHCクラスIIの発現について検討を行った. SPFネコに比較して, FIV感染ネコのCD4/CD8比は僅かに減少していた. 末梢血中のIL-2Rα+細胞は, FIV感染ネコにおいて有意に増加していたが, コンカナバリンAによるIL-2Rαの誘導性は低下していた. FIV感染ネコのコンカナバリンA刺激PBMCを二重染色し, フローサイトメトリー解析を行ったところ, CD4+IL-2Rα+およびCD8+IL-2Rα+両細胞群の減少が認められた. さらにFIVを正常ネコPBMCに接種したところIL-2Rαの発現抑制が認められた. またFIV感染ネコのPBMCにおいてはMHCクラスII+細胞の増加も認められた. これらの結果から, FIV感染ネコのPBMCは生体内ですでに活性化しており, この活性化状態およびFIVによるIL-2Rαの発現抑制が感染ネコにおいてみられる幼若化反応の低下に関係しているものと思われた.
  • 柴田 勲, 浅井 鉄夫, 明石 博臣, 稲葉 右二
    1992 年 54 巻 3 号 p. 523-528
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1981年から1989年に日本で分離された24株のオーエスキー病ウイルスについて, 制限酵素切断パターン, マウスに対する病原性およびチミジンキナーゼ(TK)活性により性状の比較分析を行った. プラッククローニングした24株の制限酵素切断パターンはすべてHerrmann et al. (1984)が分類した4タイプのうちタイプIIに属していた. これらの株は切断フラグメントの数と移動度の違いにより制限酵素Bam HIで7グループ, Kpn Iで9グループ, BstW IIで3グループおよびSal Iで2グループに分かれた. 野外分離株の疫学調査には特にBan HIとKpn Iが有用であることが示された. すべての分離株がマウスに対する病原性を示し, そのPFU/LD50値は6.9から63.0であった. 他の株と異なる制限酵素切断パターンを示したNagano S87株はマウスに対して最も病原性が強かった. 一方, ara-T耐性, TK陰性の作出株はマウスに対して病原性を示さなかった.チミジンプラックオートラジオグラフィーによりTK活性を調べた結果, すべての分離株に活性が認められた.
  • 小嶋 岳, 津田 修治, 白須 泰彦
    1992 年 54 巻 3 号 p. 529-533
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    P=S型有機燐剤であるFenthionとDiazinonの致死用量をウレタン麻酔下ラットに静注した際の急性致死作用の機序を解析するため麻酔下で 1)無処置 2)人工呼吸下 3)迷走神経切断下 4)アトロピン処置下 5)脊髄破壊下(同時に迷走神経切断とアトロピン処置を施した)の5つの状態下で静注し, 血圧・心拍・呼吸に対する作用を検討した. 無処置ラットではFenthion 200 mg/kgまたはDiazinon 100 mg/kgにより一過性無呼吸・徐脈・血圧低下がみられ死亡した. 人工呼吸下ではFenthion 200 mg/kgで生存したが, Fenthion 400 mg/kgで血圧低下がみられ死亡した. 迷走神経切断下, アトロピン処置下, 脊髄破壊下ではFenthion, Diazinonとも無処置と同用量で死亡した. 徐脈はアトロピン処置により消失したが, なお血圧低下が見られ死亡した. さらに, 脊髄を破壊して血管運動中枢からの交感神経性発射により維持されている血管緊張を除き, かつムスカリンレセプターの関与を除外したラットにおいても血圧低下がみられ死亡した. 以上より, 致死作用は血圧低下を主な要因とするものであり, この血圧低下はコリンエステラーゼ阻害によるアセチルコリンの蓄積を介するものではなく, 心臓または血管系に対する直接作用に起因するものと考えられた.
  • 五十嵐 真一, 鹿野 胖, 西田 利穂, 尼崎 肇, 浅利 将男
    1992 年 54 巻 3 号 p. 535-539
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    成熟した雌雄のSlc:SDおよびJla:Wistarラットの消化管における炭酸脱水酵素アイソザイムの組織局在を免疫組織化学的手法を用いて検討した. 胃粘膜では腺胃部の壁細胞および被蓋上皮細胞にCA-IIが認められた. 小腸は陰性であった. 大腸では盲腸および結腸の内腔側の表面および腸腺上部の吸収円柱上皮細胞にCA-I, CA-II, CA-IIIの3つのアイソザイムが認められた. しかし, 腸腺下部の吸収円柱上皮細胞および杯細胞は陰性であった. 染色の状態は盲腸および結腸近位部が最も強く染まり, 結腸遠位部で弱くなり, 直腸ではさらに弱くなった. 以上の結果から, ラット消化管においては炭酸脱水酵素の各アイソザイムのうちCA-IIが最も広く分布していることが明らかとなった. また, 大腸では炭酸脱水酵素の3つのアイソザイムが協調して水分の吸収, イオン交換および腸管腔内の酸-塩基平衡に関与し, 特に盲腸および結腸近位部でこれらの活性が強いことが示唆された.
  • 山田 俊治, 西森 知子, 清水 実嗣
    1992 年 54 巻 3 号 p. 541-549
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1987年から1990年の間に分離した148株のオーエスキー病ウイルス由来DNAを制限酵素BamHIとKpnIで消化し, その切断型をわが国で1981年に最初に分離された山形-S81株, アメリカ合衆国由来のIndiana S株とtsG1株, タイ国由来のNK株と比較した. その結果, 最近分離されたウイルス株のDNAは基本的に同一の切断型を示し, 山形-S81株およびNK株と同様にBamHIの切断型II型に分類された. 一方, アメリカ合衆国由来の2株はI型であった. これらの結果は, 初発生以来わが国で流行しているオーエスキー病ウイルスに顕著な変異の起こっていないことを示唆する. しかし, ゲノムの反復配列, 反復配列とユニーク領域の接合部位および左末端には, 切断点の獲得と消失, あるいは塩基配列の挿入と欠失に起因する変異が認められた. これらの変異は同一地域や農場で同時期に分離されたウイルス, 疫学的に関連のある発生から分離されたウイルスの間で共通して認められる傾向にあった. ウイルスDNAの制限酵素による分析がオーエスキー病の疫学調査に有用であることを示すものであろう.
  • 鈴木 正嗣, 梶 光一, 和 秀雄
    1992 年 54 巻 3 号 p. 551-556
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    北海道洞爺湖中島のエゾシか個体群について, 精巣ならびに血漿テストステロン濃度の年間変動を調べた. 他の温帯性のシカ類と同様に, エゾシカにおいても, 精巣のサイズや精細管直径, 精細胞の構成や配列, 血漿テストステロン濃度に顕著な季節的変化が認められた. 精子形成は7~8月頃に開始されると考えられ, 8月末の時点では完成した精子が少数みられた. 洞爺湖中島における交尾期開始時期の10月末になると, 精巣サイズや精細管直径の平均値は最大となり, 精上皮には盛んな精子形成像が認められた. 精巣の退縮はl2月末には始まっており, 2~3月になると精子形成は終了していた. 以後6月頃まで, 精巣は休止状態にあるものと思われた. 交尾期にあたる10月末と11月初めの血漿テストステロン濃度は, 2月や3月, 6月, 12月に比べると極めて高く, 個体差が大きかった. この個体差は, テストステロンのpulsatile secretionによるものと考えられた.
  • 宝達 勉, 岡田 奨, 石塚 譲, 山田 仁美, 小山 弘之
    1992 年 54 巻 3 号 p. 557-562
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    日本に流行しているネココロナウイルスのTypeを調べた. 感染ウイルスの識別はType IのFIPVには反応しないモノクローナル抗体を用いた競合ELISA法およびType IIのFIPV79-1146株を攻撃ウイルスとした中和試験により実施した. 合計1,079例の血清をIFAで調べたところ, 42例のすべてのFIP発症ネコ, 138例(138/647;21.3%)の病院外来ネコおよび57例(57/390;14.6%)の健康ネコの血清がネココロナウイルス抗体陽性であった. これらの237血清についてネココロナウイルス感染の識別を実施した結果, 発症ネコでは29例(69%)がFIPV Type I, 13例(31%)がFIPV Type IIの感染と思われた. 病院外来ネコでは, 111例(80.4%)がType IのFIPVまたはFECV感染であり, 14例(10.1%)がType IIのFIPVまたはFECV感染と思われた. 残りの13例(9.4%)は, Type IかType IIかの識別ができなかった. 健康ネコでは57例すべてがType IのFIPVまたはFECV感染であった. 以上の結果から, 日本ではType Iのネココロナウイルスの流行が多く, Type IIのネココロナウイルスの流行は少ないことが, 明らかとなった. さらに健康ネコでType IIの感染がなかったことから, 日本では79-1683株のようなType IIのFECVの流行はほとんどないように思われた.
  • 桜井 徹, 植田 吉純, 佐藤 昌弘, 矢内 顕
    1992 年 54 巻 3 号 p. 563-565
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    カイコ幼虫の体液中にネコインターフェロンを効率良く生産させることができた(6.5×107U/ml). さらに, ネコインターフェロンを2種のアフィニティー担体を用いてほぼ純品にまで精製した. 分子量は約25kDであり, 遺伝子の塩基配列から推定される値(20kD)との差から糖鎖が付加されていると考えられる. また, ネコカリシウィルスに対する抗ウイルス効果がin vitroで認められた.
  • 平野 孝一, 足立 吉數, Bintvihok Anong, 石橋 幸子, 熊澤 教眞
    1992 年 54 巻 3 号 p. 567-569
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    肝臓からの効果的なアフラトキシンの抽出及びクリンアップの方法について検討した. 先ず, アフラトキシンを破砕した肝臓から遊離させるために, プロテイナーゼKで酵素処理を行った. その試料からの回収試験では, 鶏の肝臓の場合, 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で108.1±4.9%(平均値±標準誤差, n=3), 酵素免疫測定法(ELISA)で, 122.0±18.3%(n=3)であった. 豚の肝臓では, HPLCで111.8±5.2%(n=3)・ELISAで120.3±9.1%(n=3)であった. さらに, 幼雛へのアフラトキシンB1(AFB1)の投与試験を実施し, その肝臓からの回収試験を行ったところ, 投与後3時間目に高いAFB1値が得られ, その値は時間とともに, すみやかに低下した. このことから, アフラトキシン汚染飼料を摂取した鶏においては, 少なくともアフラトキシン摂取後24時間以内ならば肝臓から検出可能との知見が得られた. この抽出及びクリンアップの方法を用いて, 血漿からアフラトキシンが検出された野外飼育採卵鶏の肝臓36検体と屠畜場から入手した豚の肝臓6検体及びそれらの豚が食べていた飼料6検体からアフラトキシンの検出を試みたが, いずれの試料からもHPLC及びELISAによってアフラトキシンは検出されなかった.
  • 渋谷 一元, 田島 正典, 山手 丈至
    1992 年 54 巻 3 号 p. 571-574
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    一側性視神経無形成の認められた6週齢のF344雌ラットの眼球及び視神経路を病理学的に検索した. 肉眼的に, 左側視神経は眼球後極部から視交叉まで完全に欠損していた. 左眼球の網膜は, 特に内側が重度な低形成を示すとともに, 網膜中心血管及び視神経乳頭を欠いていた. 視交叉の右側領域, 右側の視索, 外側膝状体, 及び前丘も低形成を示したが, それらの部位における視神経線維の変性像あるいは炎症性反応は認められなかった.
  • 井上 誠, 山本 春弥, 松尾 和夫, 日原 宏
    1992 年 54 巻 3 号 p. 575-577
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスのFK78株に対する2株のニワトリ卓球性細胞(IN24およびLSCC-NP1細胞)のin vitro感受性について検討した. IN24細胞は同ウイルスに高い感受性を示し, 細胞外および細胞内ウイルス価は接種後72時間に, それぞれ107.0と105・8TCID50/0.1mlに達し, 電顕的に結晶状配列を示すウイルス粒子がみられた. LSCC-NP1細胞ではウイルス価は低値で, 細胞内ウイルス価は細胞外ウイルス価とほぼ同値を示した.
  • 杉本 弘司, 櫻井 信夫, 白澤 春之, 藤瀬 裕, 柴田 清, 下田 貫三, 坂田 順
    1992 年 54 巻 3 号 p. 579-582
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    血尿を伴った尿石症5例を台湾産植物に由来する処方剤(P-3)を用いて治療した. その結果, 食欲減退, 肉眼的血尿, 蛋白尿は短期間内に改善され, 結石の排出が示唆された. 病理学的には全例共, 結石に関連した腎盂腎炎と糸球体腎炎の併発が認められた.
  • 長谷川 承, 左向 敏紀, 小山 秀一, 本好 茂一
    1992 年 54 巻 3 号 p. 583-584
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    健常猫9頭, 犬6頭, 牛3頭についてEuglycemic insulin clamp technique(EICT)を行った結果, 定常状態のグルコース注入量(SSGIR)は猫8.3±1.8, 犬20.3±4.68, 牛2.3±0.29mg/kg/minであった. 猫のSSGIRは犬のそれに比較して有意な低値を, また牛のそれに比較して有意な高値を示した(p<0.01).
  • 五十嵐 郁男, Venturini L., Lorenzo C. Di, Vignau L., Venturini C., 斎藤 篤志, 鈴 ...
    1992 年 54 巻 3 号 p. 585-587
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    トキソプラズマ抗体の検出を目的としてウレアーゼ標識抗体を用いたELISA法につき検討を行った. 感染3日目のRH株を蒸留水に懸濁し, 超音波処理をした抗原は非特異反応が少なかった. マウスにビバリー株を接種すると, ELISA法による抗体検出は色素試験と同時期であった. ブタ血清を用いた色素試験では1:8を谷とする抗体頻度分布を示し, 1:16以上が陽性と推定された. 1:50の一点希釈法によるELISA法と色素試験との陽性・陰性の定性的一致率は90%であった.
  • 昆 泰寛, 橋本 善春, 村上 和雄, 杉村 誠
    1992 年 54 巻 3 号 p. 589-590
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    一側性尿管結紮後1か月から6か月の実験的水腎症マウスから得た腎臓をWhole-mount標本とし, レニン含有細胞を免疫組織化学的に検出した. 結紮後1か月ではレニン含有細胞は輸入糸球体細動脈全域に強陽性に認められ, その後徐々に減少した. 不法はレニン含有細胞を三次元的に観察するうえで有効な手段と考えられる.
  • 井上 誠, 山本 春弥, 日原 宏
    1992 年 54 巻 3 号 p. 591-594
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ニワトリ単球性細胞株, LSCC-NP1とIN24においてFcレセプター発現と免疫貧食作用について検討した. LSCC-NP1とIN24細胞はFcレセプターを発現していたが, 免疫貧食作用はLSCC-NP1細胞において旺盛で, IN24細胞では微弱であった. phorbol myristate acetateとインターフェロン-γの処理によって, IN24細胞のFcレセプター発現は増強されたが, しかし免疫貧食作用は顕著には促進されなかった. 一方, IN24細胞は補体-ヒツジ赤血球に対する旺盛な食作用を示した.
  • 澤田 勉, 玉田 尋通, 稲葉 俊夫, 森 純一
    1992 年 54 巻 3 号 p. 595-596
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    CAPを半年または1週間毎に経口投与する犬の発情阻止法を検討した. 成犬11頭に日量4~12.5mgを1週間連日投与し, これを半年毎に繰返す処置法の可能性を検討したが, 投与終了後4~6カ月で2頭に発情が回帰した. 他方, 幼犬と成犬を含む16頭に2~6.25mgのCAPを1週間毎に投与すると, 1年以上にわたり全頭の発情を阻止することができた. 本法は体重に若干の増加を生じた他は何ら異常を認めず, 犬の発情阻止法として有効と考えられた.
  • 田村 豊, 鈴木 祥子, 木島 まゆみ, 高橋 敏雄, 中村 政幸
    1992 年 54 巻 3 号 p. 597-599
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    緑膿菌のエラスターゼとアルカリ性プロテアーゼの局所あるいは全身感染における影響を調べた. 緑膿菌PA103株を筋肉内に接種したマウスの同じ部位にエラスターゼを投与することにより, 菌は効果的に接種局所に定着した. その後, 菌は全身感染の指標とした肝臓で増殖した. 一方, アルカリ性プロテアーゼではこのような作用はなかった. 以上の成績は, エラスターゼが本菌の病原性発現に重要な役割を演ずることを示している.
  • 佐藤 良彦, Sehneebeli Markus, 佐藤 儀平
    1992 年 54 巻 3 号 p. 601-603
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ザンビア共和国の1養鶏農家でビタミンA欠乏症が認められた. 5週齢の採卵鶏及び6週齢の肉用鶏は高度の発育不全と眼瞼の腫脹, 高い致命率を, 30~70週齢の採卵鶏は産卵開始の遅れと著しい産卵率の低下を示した. 剖検では口腔及び食道粘膜に小結節様病変がみられた. 診断後, 直ちにビタミン類を添加した粉砕メイズを給与したところ速やかに回復した. 本症例は同国における鶏ビタミンA欠乏症の最初の報告である.
  • 佐藤 英明
    1992 年 54 巻 3 号 p. 605-607
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    カルシウム阻害剤 TMB-8のマウス卵母細胞の卵核胞崩壊に及ぼす影響を調べた. TMB-8は濃度依存的に卵核胞崩壊を抑制し, 培養開始後30分以内に添加した場合顕著な作用を示した. さらにTMB-8の抑制作用は可逆的であった. 以上のことからマウス卵母細胞の卵核胞崩壊の初期過程においてカルシウムが重要な役割を果たしていると推察された.
  • 熊澤 教眞, 今川 智敬, 谷川 孝彦, 田中 吉紀
    1992 年 54 巻 3 号 p. 609-610
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    イシマキガイの成貝と稚貝の伸展型血液細胞はミトコンドリア, ライソゾーム, 食胞がよく発達していた. 稚貝の細胞はゴルジ装置の発達がやや悪かった. 超薄切片像では成貝細胞の細胞質内に脂肪顆粒が見られたが, 稚貝細胞には見られず, 脂肪染色標本でもSudan black B-陽性顆粒は成貝細胞に多かったことから, この脂肪顆粒は成貝の血液細胞に見られる機能に関与している可能性が考えられる.
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