Journal of Veterinary Medical Science
Online ISSN : 1347-7439
Print ISSN : 0916-7250
ISSN-L : 0916-7250
片腎摘出糖尿病誘発マウスに於ける腎糸球体病変の検索
久米 英介土居 千代板垣 慎一長島 吉和土井 邦雄
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 54 巻 6 号 p. 1085-1090

詳細
抄録
あらかじめ片腎を摘出したマウスにストレプトゾトシン(SZ)を投与(50mg/kg/day×5days)することにより糖尿病を誘発した. SZ投与終了後4週おきに剖検を行い, 12週後(12WAI)まで検索を行った. 片腎摘出糖尿病マウスでは4WAIからメサンジウム領域の拡張が認められ, 12WAIでは分節状の糸球体硬化症にまで発展した. 電子顕微鏡による観察では顕著なメサンジウム領域の拡張に加え, 分節状の糸球体基底膜の肥厚および上皮細胞の足突起の癒合, 毛細血管内皮細胞の微絨毛の増加などが認められた. 一方, 片腎摘出を行っていない糖尿病誘発マウスの糸球体では12WAIの時点でも弱から中程度のメサンジウム領域の拡張が認められたのみであった. また興味深いことに, 糖尿病を誘発していないマウスにおいてはボウマン嚢壁は立方上皮または低円柱上皮(male-type epithelium)によって覆われていたのに対し, 糖尿病誘発マウスにおいては扁平な上皮によって覆われていた.
著者関連情報
© 社団法人 日本獣医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top