抄録
敗血症を呈する鶏から分離された大腸菌115株について, 1日齢雛に対するビルレンスとビルレンス因子の解析を行った. その結果, 大部分のビルレンス株は血清抵抗性およびアエロバクチン系鉄取り込み能を有していた. 血清型O2の代表的なビルレンス株であるS-20株について更に検討を行った. S-20株は接合伝達性の100メガダルトンプラスミド(pKI100と命名)を保有していた. 本プラスミドの脱落株および再導入株を用いた実験によって, pKI100プラスミドは血清抵抗性とアエロバクチン系鉄取り込み能をコードしている事, また, pKI100プラスミドの脱落株への再導入により本菌のビルレンスが回復することが示された. これらの結果から, pKI100プラスミドはS-20株のビルレンスプラスミドである事が明らかとなった. また, 血清抵抗性およびアエロバクチン系鉄取り込み能は敗血症など鶏大腸菌症を惹起する大腸菌のビルレンス因子である事が示唆された.