Journal of Veterinary Medical Science
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ラットの実験的潜在精巣におけるライディヒ細胞のメチオニンアミノペプチダーゼ活性の増加 : 組織化学的観察
松澤 時弘初谷 真琴森口 克彦
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1992 年 54 巻 6 号 p. 1157-1163

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抄録

ラットにおける実験的潜在精巣中のメチオニンアミノペプチダーゼ(Me-AP)活性の経時的変化を組織化学的に観察した. 潜在精巣手術後5日目から, 精子の消失, 精細管の萎縮, ライディヒ細胞の増殖・肥大に伴って, ライディヒ細胞でMe-AP活性が増加した. 一方, ロイシンアミノペプチダーゼ(Leu-AP)活性は変化しなかったが, アルギニンアミノペプチダーゼ(Arg-AP)は, 手術直後から7日目まで減少し続けた. 潜在精巣でのこれらアミノペプチダーゼ活性の変動の生理的意義を理解するために行った, 実験的再生肝での対照実験では, 手術後24時間で, 増殖肝細胞が認められたにもかゝわらず, Me-AP活性, Arg-AP活性とも減少した. このことは潜在精巣におけるMe-AP活性の増加が, 細胞増殖に伴う一般的現象ではなく, ライディヒ細胞の増殖による固有の現象であることを示している. また潜在精巣におけるMe-AP活性の変動, セルロース. アセテート膜によるアミノペプチダーゼザイモグラムの変化はミトコンドリア分画で顕著であった.

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