抄録
新生豚の血清アミラーゼ活性を色素産生法(ブルースターチ法)により測定し, アイソエンザイム分画をセルローズアセテート膜電気泳動法により検索して, 成豚の値と比較した. 新生豚の血清アミラーゼ活性は成豚の約1/2で, 加齢とともに増加した. 血清アミラーゼのアイソエンザイムは陰極から4分画を示し, 各分画の組合せにより5群に分類された. 分画および各群の出現頻度に, 子豚と成豚間で有意差は認められなかった. 新生豚にデキストラン鉄投与後, 赤血球数, 血色素量, 血球容積とともに血清アミラーゼ活性は増加した. 血色素量と血球容積の増加は1回投与よりも2回投与群で著しかったが, 血清アミラーゼ活性は両群とも同程度の増加であった. 血清アミラーゼ活性の増加は, 鉄剤投与によってアミラーゼ産生臓器の発達が促進されることを示していると思われる. 血清アミラーゼ活性は新生豚の順調な発育を示す指標になるものと考えられた.