Journal of Veterinary Medical Science
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ブタ胎仔の性分化特に中腎傍管, 中腎管, 外生殖器の発達
猪股 智夫井上 聖也菅原 浩梶原 哲史四宮 達郎和貝 一郎二宮 博義押田 敏雄白井 明志橋本 豊
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1993 年 55 巻 3 号 p. 371-378

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抄録
中腎傍管(ミュラー管)は雌雄ともに胎齢30日目頃のブタ胎仔にその原基が認められ, 中野上部の生殖腺あたりで, 中腎管(ウォルフ管)のそばに観察された. その後, 中腎傍管は中腎管に沿って尾側に発達し, 胎齢40日目になると尿生殖洞に達していた. この時期, 雄の中腎傍管は退縮を始め, 雌のそれは発達を続けた. このことからミュラー管抑制ホルモンは胎齢40日目以前から分泌されると考えられた. 中腎管は雌雄ともに胎齢45日目に中腎の退行とともにその直径が減少し始めた. 胎齢60日目になると中腎管の直径は, 胎齢30日目のそれに比べて約70%も減少した. その後, 雌の中腎管は消失したが, 雄の中腎管は再び発達した. 外生殖器の性分化は胎齢35日目に観察された. 雄では生殖結節の尾側に小さな円形の尿生殖口と会陰経線とが観察された. しかし, 雌ではこれらは観察されなかった. このことからブタ胎仔の精巣では胎齢35日目以前にアンドロジェンが分泌されていることが示唆された.
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