5例のウマの肺の気管支系および肺動・静脈系にcelluloidのacetone溶液を注入して鋳型標本を作製し, 気管支分岐と肺葉の関係を調べた. 現在ウマの肺は左右とも前葉と後葉から成り, 右肺ではさらに副葉が区別されている. しかし, 気管支分岐を検討すると, 左右の気管支から起こる葉気管支および区域気管支は起点から背側気管支系, 腹側気管支系, 内側気管支系および外側気管支系の4気管支系に大別できる. 左右とも, 前葉は背側気管支系の第1枝で, 中葉は外側気管支系の第1枝で, 副葉は腹側気管支系の第1枝で形成され, それ以外の背側気管支系, 外側気管支系, 腹側気管支系および内側気管支系の気管支は後葉を形成する. 従ってウマの肺は従来の説と異なり, 左右の両肺に前葉, 中葉, 後葉および副葉が存在することが明らかになった.